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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

「環境学と私」のはじまり

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社会環境学専攻 環境政策論講座
三上 直之 教授
本教員のプロフィール

昨年10月、北海道大学から環境学研究科へ異動してきました。環境学の大学院に所属するのは、大学院生の時以来です。大学は異なりますが、約8年間、環境学の大学院で学んだ私にとって、この度の異動は、新たな場所に移りながらも原点に帰ったような気がする不思議な経験でした。かつて学んだ環境学の大学院は、2001年創立の本研究科とほぼ同時期に設置され、私はその第1期生として、1999年に修士課程に入りました。ただ、その選択は、確固たる意思に基づくものではなく、偶然のなりゆきでした。
入学の数カ月前のこと。大学を卒業して約2年間、会社勤めをした後、思うところがあって大学院に行こうと決心し、母校の恩師を訪ねました。学部時代の専攻だった社会学分野の大学院は直前に出願が締め切られ、次の入試は1年後だと知りました。がっくりきていると、先生は、「学融合」(transdisciplinary approach)を旗印とした環境学の大学院が間もなく新設されることになっていて、入試もこれからだと教えてくれました。
「新設の研究科、専攻だから、社会学よりも入りやすいかもしれないよ。合わなければ、来年、社会学の大学院を受け直しても良いわけだし」
環境学? 学融合? あまりピンとこなかった私でしたが、1年間、浪人生活をする度胸がなかったこともあり、受験することにしました。幸い合格し、(その後、四半世紀の間に紆余曲折はありましたが)今日に至るというわけです。
大学院では環境社会学や環境政策を中心に学びました。同じ環境学の専攻の都市工学や建築学の仲間と机を並べて勉強する中で、「環境学」が自らのアカデミックな拠り所となっていきました。社会学も、今日に至るまで研究者としての自分を形づくるもう一つの軸ですが、これまで授業科目や所属講座として「社会学」を担当する機会がなかったことも影響してか、社会学に対する私の意識は、現実の問題に対していかに社会学の知識を活用できるかというユーザーとしての視点に力点がある気がしています。
こうした自己認識そのものが、25年前の環境学との偶然の出会いに大きく影響を受けていることは間違いありません。
(みかみ なおゆき)

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