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研究科長メッセージ



研究科長
あたらしい「環境学」創造へのチャレンジ
 
環境学研究科長 横山 智
 

 名古屋大学大学院環境学研究科は、理学、工学、人文・社会科学の幅広い領域が集結し、2001年に設立されました。以来、2,841名の修士、393名の博士が当研究科を修了し、大学、研究所、民間企業、省庁、地方自治体などの多様な分野で活躍しております。  我々の使命は、理学、工学、人文・社会科学の異なる専門分野(縦糸)を「持続性学」と「安心・安全学」の2つの理念(横糸)でつなぎ、新たな学理「環境学」を構築することです。これまで研鑽を積み上げてきた既存学問分野の研究をより発展させるとともに、「持続性学」と「安心・安全学」の両方を総合的に考え、地球環境問題を解決するリーダーとして活躍できる「専⾨を持ったジェネラリスト」、「異分野を理解できるスペシャリスト」を育成します。

 環境学は、問題を診断するための基礎環境学とそれを治療するための臨床環境学から成るというのが、私たちの考え方ですが、近年は問題が、より複雑化し、治療の糸口が見えにくくなっています。日本は人口減少の時代に突入しました。とくに離島や農山漁村の人口減少と高齢化は深刻です。森林管理ができない、耕作放棄地が増加する、獣害が多発する、そして生活が困難となり離村するという負のスパイラルに陥っています。それぞれの問題は相互に関連し合っており、これまでとは異なる治療方法が必要です。例えば、持続的共発展教育研究センターが実施する「臨床環境学コンサルティングファーム」では、分野横断で地域ステークホルダーと研究者が協働して問題を話し合う場をつくり、様々な提案を行っております。文理融合型の環境学研究科の強みは、問題を診断し、治療するだけではなく、現場(フィールド)で様々なアクターと連携しながら、新しい価値を創造できることです。

 私たちは、様々な環境問題に対応するために常に新しいことに挑戦し続けます。2021年度から開始した「地球規模課題」では、SDGsに深く関係する「気候変動」などの10課題を選定し、異なる専攻の複数教員が世話人となって、シンポジウム、ワークショップ、エクスカーションなどを企画しています。また、2022年度からは、博士後期課程社会人特別選抜の受験生から希望者を募り、院生と複数の教員、そして社会のさまざまな方々が協力しながら超学際的な共同研究を推進する教育プログラム「知の共創プログラム」を開始しております。今後、当プログラムは、東海地区の民間企業等との組織連携のもと、大学院リカレント教育プログラムとして発展させていくことも視野に入れております。

 環境学研究は、既存学問分野の研究を極めるとともに、学問分野の枠を超えて、地球環境問題を解決するリーダーとして活躍できる皆さまと一緒に、研鑽を積み、また切磋琢磨し、新しい「環境学」創造にチャレンジしていきたいと思っています。

 

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