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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

地球化学と私

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地球環境科学専攻 大気水圏科学系
三歩一 孝 特任助教

私の名字は、「さんぶいち」と読みます。北海道大学の修士課程を修了するまでの24年間を生まれ故郷である北海道で過ごしましたが、親族以外に同じ苗字の人には会ったことがありません。今のところ、環境学研究科でも同じ苗字の人を見かけたことはありません。本稿を通して名前だけではなく私の専門である「地球化学」についても知って頂けると幸いです。
地球化学という分野を簡単に説明すると、「地球」で進行する様々な自然現象やそれによって形成される環境を「化学」の側面から理解することを目指した学問です。研究の対象となる物質は、大気、水、岩石、生物など地球上のありとあらゆるものです。また、取り扱う事象の中には、あっという間に進行する化学プロセスもあれば、地球史に跨るような数十億年スケールの環境変化を扱う場合もあります。ちなみに東野圭吾著の「ラプラスの魔女」という小説がありますが、主人公は地球化学者です。映画化もされましたが、同じく東野圭吾原作の「探偵ガリレオ」シリーズのような大きなブームにはならず、世の中における地球化学の認知度は残念ながらまだまだ低いままです。
私が地球化学に出会ったのは小説「ラプラスの魔女」出版から遡ること数年の学部4年の時でした。それから現在に至るまで地球化学の研究を行っていますが、研究テーマは岩石と水の相互作用から、水−岩石−生物間の元素循環、最近では化石の安定同位体比分析による古生態学・古環境学的な研究に移り変わってきています。地球物質の化学を取り扱う限りどこまで行っても地球化学の地平である一方、その裾野の広さ故に幅広い知識や経験、それらを結びつける洞察力が要求されるのが地球化学です。
私には1歳6ヶ月の息子がいます。1年前には自力で移動することすら出来なかったのに、現在は走り回れるほどに成長しました。身振り手振りと言葉らしき発声で意思疎通を図るようにもなり、何かを要求される度に子どもの成長速度の速さに驚かされます。地球化学者3年生の私は、これからも地球化学の世界で生きていく(「生き残る」の方が正しいかもしれない)ためには成長し続けなければいけないと、新たに出会った「さんぶいち」くんに刺激を貰っています。
(さんぶいち たかし)

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