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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生ががそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

水はどこから来たのか?

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地球環境科学専攻 大気水圏科学系
栗田 直幸 准教授
本教員のプロフィール

身近にある水蒸気がどこから来たのか考えて見ませんか?身の回りにある水蒸気は、目に見えませんが、上空にある雲の動きを観察することで水蒸気の流れを実感することができると思います。もちろん、我々が暮らす地表面付近の水蒸気には、周囲の地表面から蒸発した水も含まれます。しかし、身近な水蒸気にも遠路はるばる旅をして来た水であふれています。私の研究室では、身の回りにある水蒸気や降水がどこからどのような履歴を経て運ばれてきたのか?といった素朴な疑問から地球規模スケールでおこる水の旅まで、水循環に関する様々な謎を解明することを目指して研究を行っています。
水(H2O)は水素と酸素から成り立つ物質ですが、天然には、安定同位体と呼ばれる重水素(D)を含む重水(HDO)や重酸素(18O)を含む重酸素水(H218O)がわずかながら存在します。そして、H2Oと同位体水の存在比は水蒸気起源や輸送過程によって変化するため、水の同位体比は水の旅を紐解くトレーサーとして扱えます。私の研究室では、この同位体水循環の手法を極域から熱帯域に至る様々な地域に適応し、各地にもたらされる降水の起源推定や降水メカニズムの解明に取り組んでいます。そして、その研究成果を、現在の気候形成・維持に水循環が果たす役割を理解の向上に役立てています。
最近では、気候変化が水循環に及ぼす影響を理解する研究にも取り組んでいます。水循環は、地球の気候を温暖な状態に維持する調整弁の役割を担っており、気候が変化すれば、必然的に降水量やその分布が変化します。将来おこりうる水循環変化を予測するためにも、過去の気候変動によって降水の起源や雨の降り方がどのように変化したのか把握する必要があります。そこで、木材、洞窟沈殿物、湖沼堆積物、そしてアイスコア等の古環境試料に記録されている安定同位体データ情報から降水の安定同位体比を復元し、気候変動とともに降水の起源や輸送過程がどのように変化してきたか調べています。そして、その研究成果から、地球を巡る水の旅が気候とともにどのように変化してきたのかという水循環の謎を解明したいと考えています。
(くりた なおゆき)

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