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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

わからないことに囲まれて

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社会環境学専攻社会学講座 博士前期課程 2014年修了
浅井 南

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担当した展覧会で作家と
現代美術はわからない、という人は多いと思います。文化財団で働く私もそう感じることがよくあります。でも、簡単にわからないからこそ面白いと感じることも同じくらいよくあります。
私は社会環境学専攻社会学講座に在籍し、参与観察やヒアリング等の調査手法を使って、東日本大震災の被災者支援について研究していました。修了後は文化政策に興味があったことから、文化施設を管理運営する市の外郭団体に就職し、市民ギャラリーの担当者として現代美術展の企画運営などに携わってきました。しかし、私はもともと現代美術に関心があったわけではありません。むしろ特別な才能がない私には、全く理解できない世界だと思っていました。
転機が訪れたのは、就職して半年ほど経ち、若手作家の現代美術展を担当した時でした。出展作家の皆さんはどこにでもいるような若者で、驚きと共に親しみを感じました。そこで初めて、作家は自分と同じ世界で生きていると実感し、もっと作家の活動を理解したいと思うようになりました。
この出来事がきっかけとなり、私は次第に社会調査に行く感覚で仕事へ向かうようになりました。作家ではない私には、調査のスキルを活用して作家の活動を知るしか方法がないと考えたからです。休みの日は様々な展覧会やイベントの他、アトリエにもお邪魔して、より多くの方とお話するように努めました。芸大の先生にお願いして、芸大生と一緒に勉強させてもらったこともありました。
わからないことを知ろうとするのは、とても面白いことです。研究生活では、わからないことを考え続け、もがいた末に急に視界が開けた経験がありました。今の仕事でも同じで、人に話を聞いてみる、展覧会に出かけてみる…他者と関わり他者を理解しようと行動することで、想像もしなかったような景色が見えることがあります。そういう時に仕事の面白さを改めて感じ、また頑張ろうと力が湧いてきます。
環境学研究科で学んだことは、私にとって一生の財産です。そして、その財産は自分次第でどんな形にもなり、どんな場所でも活かすことができると信じています。これからも学び続ける姿勢を忘れずに、様々な仕事に挑戦していきたいです。
(あさい みなみ)

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