ホーム > 環境学と私

このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

これからの交通

顔写真

未来社会創造機構(都市環境学専攻持続発展学系)
三輪 富生 教授
本教員のプロフィール

自動車の移動軌跡データを用いて,ドライバーの経路選択行動の分析や,交通情報生成技術の開発によって,2005年に環境学研究科にて学位を取得しました.その後,本学の未来材料・システム研究所において,新たな道路交通政策や先進モビリティによる交通計画の研究に取り組んできました.そして2024年4月より,未来社会創造機構モビリティ社会研究所(環境学研究科都市環境学専攻兼務)所属として改めてお世話になります.
道路交通分野は大きな変化の時代を迎えています.その重要なファクターの1つが自動運転技術です.「自動車による移動中に運転操作から解放されたり,タクシーが無人になったりするだけでは」とお考えの方もおられるかもしれません.しかし,その影響はもう少し大きいようです.例えば,高度な自動運転が可能な自家用車を保有したとします.これまでは一人で自動車を利用できなかった高齢者や子供が好きな時間に好きな場所へ行けるなります.また,目的地に到着した後でその車は自動で帰宅し,それを家族の他の人が利用できるようになります.つまり,人々の移動の自由度がかなり高まります.また,走行経路の最適化や車車間の協調的な挙動により渋滞が大きく削減され,移動時間が短縮されると考えられています.
しかし一方で,今後もこれまでのように移動する必要があるのか疑問も沸いてきます.多くの会議がオンラインで行われ,ネットで買い物ができるようになったように,それほど重要ではない移動は無くなってしまうでしょう.したがって,将来の移動は,例えば重要な商談や恋人とのデートのように,より重要な意味を持つ活動のためだけに行われるかもしれません.
さて,人口が減少し高齢化が進展する我が国において,より多くの市民が望ましい生活を送ることができる持続可能な都市を実現するためには,自動運転車が普及した社会はどのようなものであるべきでしょうか.実は私にもこれといって明確な答えは見つかっていません.その社会がどのようなものか,交通サービスはどのようにあるべきかについて考えていきたいと思います.
(みわ とみお)

PAGE TOP