ホーム > 環境学と私

このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

環境学と火山

顔写真

地球環境科学専攻 地球惑星科学系
並木 敦子 准教授
本教員のプロフィール

私は火山の研究をしています。火山と環境は関係なさそうに思われるかもしれませんが、そんな事はありません。地球の環境は火山が作ったのです!今、「ウソだ」と思いました?いえ、本当です。地球ができた時、地球の表面は大規模に融けていました。つまり、地球表面全部が火山だったのです。この時に岩石から出てきた揮発性成分が(今とはちょっと組成が違うけど)大気を作ったのです。という訳で火山が地球の環境を作ったと言っても過言じゃないのです。
火山の環境への影響はその後も続きます。例えば2.5億年前に生物の大量絶滅がありましたが(2022年「環境学と私」の高橋先生の記事をご参照下さい)、実はコレ、火山が起こしたのです。現在シベリアに大規模な噴火の跡が残されていますが、その噴火によって大量の火山ガスが大気中に供給され、これが地表の環境を変える事で生物が絶滅したと考えられています。実は、このような大規模な噴火は地球で過去に何度も起きているのですが、大規模な噴火が起きた年と生物の大量絶滅の年には相関があります。この相関関係から、火山は何度も生物を大量絶滅に追いやった可能性が指摘されています。
そんな大昔の事は今の地球環境に関係ない、と思われるかもしれません。そんな事はありません。最近でも影響しています。1991年に起きたフィリピンのピナツボ火山の噴火では大量の二酸化硫黄が大気中に供給され、これが太陽光を遮って地球の平均気温を下げました。
火山が地球環境に多大な影響を与えている事に、ちょっとは納得してもらえたでしょうか?さて、随分壮大な事を書きましたが、実は私の研究テーマはそれ程壮大ではありません。地表全部が融けていた大昔と違って、今の火山にとって、噴火は大変な大仕事です。岩石が融けてできたマグマの大部分は地表に噴火しないで地下で冷えて固まります。という事は何か条件がそろわないと噴火は起きないのですが、その条件が良くわかっていません。その条件がわかれば、噴火の予測にも、噴火による環境への影響の評価にも貢献できるはずなので、その条件を知りたいと思って研究しています。
(なみき あつこ)

PAGE TOP