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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

太古の地球環境史と私

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地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座
高橋 聡 准教授
本教員のプロフィール

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地質地球生物学講座に所属している高橋聡と申します。私は、地質時代の過去に形成された地層を研究の対象とし、地層中に残された化石や化学組成を用いて過去の環境変化の記録を解読しようと取り組んでいます。過去の地球環境の歴史を詳しく知ることは、私たちを取り巻く地球環境のメカニズムや今後の環境変化を予想する手がかりとして重要です。
私の研究は、自分の出身である岩手県内の地質図を作成する研究から始まりました。当時は、漠然と興味のあった化石生物や地質時代変遷に関しての基礎的研究スキルを身につけたいという思いであったと思います。研究活動を続けていくと、師匠とも呼べる恩師の導きや、励みになる同期、様々な協力者に恵まれ、素晴らしい学術的発見が研究成果に結びついていきました。
研究の成果は、地球生命史上の重大事件、大量絶滅に関するものです。地球の歴史を過去約6億年にさかのぼると、生物の大量絶滅が起きた時代が複数回あります。その中でも約2億5千万年前に起きた最も大きな絶滅事件の記録が、研究を続けてきた岩手や日本国内の地質の中から詳細に読み取ることができたのです。私たちが報告する日本や環太平洋域の地質から報告される化石や古環境の記録は、遠い過去の地球環境の大きな変化をグローバルに解明することに貢献しています。
大学の教員として研究を続けていると、沢山の刺激や発見があります。毎年、新しい学生・院生が集い、若く先入観の無い発想で標本や地層の観察を行うと、今まで気付かなかった発想やアイディアが生まれることがあるのです。また、純粋な好奇心に動かされて活発に展開される研究活動や議論の場に身を置いていると、いつの間にか自分も研究を始めたころのあの若さがあるように錯覚し、新しいことに挑戦したい、知識を取り入れる努力をしようという気持ちになります。このような素晴らしい大学の環境に感謝をしながら、地球環境の知見を増やすべく、励んでいきたいと思います。
(たかはし さとし)

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