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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

持続可能に次の世代へ

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都市環境学専攻 2020年度博士後期課程修了
東京大学大学院 工学系研究科 特任研究員
栗原 諒

令和3年3月に環境学研究科を修了し、ご縁を頂き東京大学の建築材料研究室で勤務しています。現在は、コンクリート廃棄物を空気中の二酸化炭素を固定しながら再利用する「カルシウムカーボネートコンクリート」プロジェクトの基礎製造技術の開発に携わっています。世界中で社会基盤を支えるコンクリートは、その使用量ゆえ、セメント製造時の二酸化炭素放出をはじめとした環境への負荷は無視できません。今日では、コンクリート研究においても、世界規模でのカーボンニュートラルへの取組みが活発になっています。
今後の気候変動を出来るかぎり抑制し、かつ、現在の文明社会を維持していくには、「持続可能」な枠組みで乗り越えていかなければなりません。大きな変化を迎えるとき、あらゆる視点で議論ができる場がとても重要だと感じます。
環境学研究科では、そのような文理の区別なく学際的な枠組みが成り立っています。私自身、例えば総合的な防災として、地震、気候変動、火山活動といったオムニバスな講義を受けたことが印象に残っています。
コンクリート分野に限っても、例えば材料施工領域と耐震防災領域まで、ナノメートルから数十メートルといった対象のスケールの違いが介在しながらも、環境に優しく災害に耐えうる、ある要求性能に対して、複数領域による協働がさらに重要さを増しています。
世界的な二酸化炭素排出抑制を目指す中で、多かれ少なかれ私たちの生活の在り方に大きく舵を切る必要に迫られる場面があるかと思います。その折に、「環境学」という相応しい名前の学際的な環境は、工学・理学・人文、広い視点から解決策を議論できる場として、今後ますます重要な枠組みであると認識しています。
私も本研究科を修了した一人として、環境学の学際的な理念を頭に留めつつ、持続可能な社会の実現に向けた流れにおいて、コンクリートの研究を通して微力ながら貢献できるよう地道に歩んでいきます。
おわりに、今回このような「環境学と私」への執筆の機会を頂きまして、編集者の皆様へ感謝致します。今後ともどうぞよろしくお願いします。
(くりはら りょう)

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