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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

親友との約束

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地球環境科学専攻 博士前期課程2014年度修了
酒井 孝英

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約束をした友人と上高地にて
「僕は観測機器メーカで頑張るから、君は研究者として、今後一緒に仕事が出来たらとても素晴らしいよね。」 そう約束し就職してから6年ほど経過しました。修士課程1年より他大学から移籍し、博士課程1年までの3年間で私が出した答えでした。それから専攻していた地震学を生かすため、とある中小観測機器メーカの地震計担当部門で強いて言えばシステムエンジニアとして働いています。
私が在学中に得られたものとして、地震学への知識はもちろんですが、他には海外の同世代の学生との交流があります。国際学会に参加した際、多少の文化の差はあっても、同じ様な事で悩み喜んでいる事が肌で感じられ、友人となる事に国境も人種も関係無いのだと嬉しく思い、親友も出来ました。冒頭の約束はそのタイ人の親友とのもので、彼は現在も研究員として順調に頑張っています。また彼らと親しくなる程、その意欲や能力の高さから、月並みな表現ですが「世界のレベル」を知らされるまたと無い経験にもなりました。
「自分の能力が低いなら会社に入ってチームとして頑張ろう、また折角ならば今までの経験を全て生かして、技術者として開発に携わりながら海外に出張し現地の人と交流したい。」と思い、(人材に限りがあるため)職種に捉われない働き方をしなくてはならない中小企業に就職しました。この予想は当たり、現在は技術者として働きながら現場工事を手伝うなど様々な業務をこなしています。
一方で観測機器の様な少数生産の機器は、お客様が機器の仕様・性能を細かく要求されるため、メーカはこれらを具現化する技術力はあるものの、自分達が何を作っているのか良く理解出来ておらず、気づけば似たような機能・性能の機器を作ってしまい、その管理のために余計な業務が発生してしまうという課題がある事が分かりました。無駄な製品を作らないためにはお客様の仕様・性能を決めた真意を読み取る必要があり、名古屋大学で学んだ理学の知識が非常に役立っています。現在は「理学の知識を生かして、汎用機を開発し、今まで管理に使っていた労力を品質の向上に使う事で、海外での業務にも十分に耐えられる様な製品を作り出し、親友との約束を果たせれば良いな」と思いながら日々仕事に励んでいます。
最後に冒頭の夢のきっかけを頂いた地球惑星物理学講座での先生方のご指導に改めて感謝し、また「環境学と私」という場で社会人としての思いを述べさせて頂く機会を頂けたこと、関係者の方々に深く感謝を申し上げます。
(さかい たかひで)

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