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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

気候変動に強靱な都市の構築

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都市環境学専攻 持続発展学系
郭 靜
本教員のプロフィール

020年10月に名古屋大学大学院環境学研究科の助教に着任いたしました郭靜と申します。名古屋大学大学院環境学研究科の博士後期課程では、土木環境システム分野における社会の物質代謝及び物質蓄積に関する研究に取り組みました。現在は、気候変動が都市構造物のレジリエンスにもたらす影響分析及び物質ストックの質の評価に関する研究に取り組んでいます。温暖効果ガスによる気候変動は全人類にとって共通の課題であり、低炭素型、低物質型かつストック型の次世代の社会像の形成による問題解決が試みられています。持続可能な発展ビジョンの実現を目指し、産業エコロジー学は過去数十年にわたり重要な役割を果たしてきました。しかしながら、本研究分野における分析手法は主に気候変動の緩和策に寄与するものであり、適応策の提案にはほとんど関与していない点が指摘されています。研究の対象である建築物も、気候変動の影響を受けやすいものの一つに挙げられます。将来、気候変動による台風や降雪の増加、地盤沈下、浸水、室内環境の悪化による建築物の短寿命化が深刻化することで、倒壊や価値損失リスクの上昇が懸念されます。気候変動に対する建築物のレジリエンスをどのように高められるのか。この問いに答えるには、まず新しい建築物と既存の建築物が有する現在のリスク及び将来の気候変動に対するレジリエンスを評価することが重要であります。本研究によって得られる成果は、今後の都市計画や物質利用に関する政策の検討に有益であると考えられます。
近年、多くの国や地域が様々な環境問題に直面しています。特に、本学では発展途上国からの留学生も多く、彼らの故郷では環境問題がより深刻であるケースが見受けられます。学生たちは名古屋大学で身につけた専門知識や新しい技術・概念を持ち帰り、環境問題の解決を通じて祖国の発展に貢献することが期待されています。本学の教員として、講義や論文指導をはじめ、学生に専門知識や学びの機会を提供し、課題解決の手助けを行うことで、広く社会や環境に貢献したいと考えています。
(ぐお じん)

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