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広報誌「KWAN(環)」の発刊にあたって
西のかた陽関をいずれば
黄砂の源を訪ねて-その1
専門知識と素人
転任にあたって
官僚とダイオキシン
総合的な学習で町づくり
事務部の窓
創設から2年目を迎えて

名古屋大学大学院
環境学研究科へ

 

転任にあたって

 月日が経つのは早いもので、私が1996年4月に名古屋大学情報文化学部に赴任して6年が過ぎました。この度2002年3月をもちまして京都大学経済研究所に転任することとなりました。本学に職を頂きましてからというもの、慌しい毎日を送っておりましたが、充実した毎日を送ることができましたのも、少しでも恵まれた研究環境をとご配慮、ご努力頂きました講座の諸先生方や、研究遂行上必要な様々な事務手続きをして頂きました職員の方々のお陰であると大変感謝いたしております。と同時に、自分はお世話になりっぱなしで名古屋大学を去ることになり、申し訳なさも感じております。
 名古屋大学における私の最初の所属は前にも書きましたとおり、情報文化学部でございました。その後2001年4月に諸先生方の大変なご努力の甲斐あって環境学研究科が設立されました際に、私もその一員に加えて頂きました。主たるテーマこそ異なるとはいえ、どちらの部局もその特徴のひとつに「文理融合」という目標があり、多彩な分野からの先生方が一堂に集うという、既存の研究分野の枠を超えた組織でした。私自身は経済学出身ですが、やはり普段接するのは同分野の先生方であることが多く、正直に言って現実的にはなかなか実際に「融合」を果たすことは困難であるという印象はぬぐいきれませんでした。しかし、折に触れて他分野の先生方とお話する機会を得て、異分野における価値基準や基本的なものの考え方といった、既存学部にいては接することの難しい面に触れることができたのは、自分にとって大きな収穫だったと思っております。今後、実際に「環境」という共通の問題に対して既存の学問の融合を図り、実際にそこから新しい学問分野を構成していくという作業は、現環境学研究科のスタッフはもとより、現在及び将来の大学院生が中心になって、すでに立ち上がりつつある分野の垣根を越えたプロジェクトを進めていく中で、一歩一歩実現されていくことと期待しております。
 本研究科は国内で最も新しい研究科であり、学問的に、あるいはそれ以上に現実社会に対しても担う役割は大変大きなものがあると考えます。社会に開かれた大学のあり方という点でも本研究科が扱うトピックは可能性、必要度共に非常に高く、関係する様々な情報を対外的に発信することができる広報誌を創刊することは大変意義あることと思います。
 最後に今後の環境学研究科の益々のご発展と教職員各位のご清祥、また学生諸氏のご活躍を祈り退官の挨拶とさせて頂きます。

2002年2月    

社会環境学専攻 環境経済論講座 西山慶彦


 この4月から名古屋を離れて新たな土地に赴くことになる。「我々はただに過去をも背負うのみならずまた風土をも背負うのである」という和辻哲朗の言葉を引くまでもなく、名古屋での一日一日が今の私を形作ってきたわけで、それはこの地を離れた後ひしひしと感じられるようになるのだろうと思う。離れがたい様々なつながりがようやく出来かけたこの時期に去ることは皮肉なものであるが、えてして人生そのようなものであろうとも思う。
 さて、その最後の一年間を環境学研究科という新たなる試みのなかで過ごさせていただいた。大学がこれから大いなる変革の時期を迎えるにあたって、それを先取りしたようなこの大プロジェクトを、身近に体験できたのは幸運であった。それは困難に直面するたびに、次々と繰り出される諸先生方の知恵に対する感嘆の連続であった。
遠くの地より研究科の益々の発展をお祈りしたい。
 最後に、考えるところあって北の地へと赴くわけであるが、思い返せば浮かぶのはお礼の言葉ばかりである。仕事を通じてお会いできた皆さまに心から御礼を申し上げたい。有難うございました。

社会環境学専攻 社会環境規範論講座 廣部泉

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