知の共創プログラム

研究・教育体制の概要

多分野の教員集団の指導で問題解決をサポートします
~ 研究・教育体制の骨格 ~

特色1. 多分野の教員による集団指導体制

「知の共創プログラム」では行政や企業、NPOなどの社会のさまざまな現場で活躍されている社会人院生に、「自らが直面している問題」を博士後期課程の研究テーマとして設定して頂き、主指導教員を中心とした多分野の教員が集団で指導することで、その問題の解決に向けた具体的な方法を一緒に探っていきます。そこで培われた社会人院生と多分野の教員の間の協力関係は、大学院の課程が終わった後も永続的な社会と大学の間での協力体制の基盤となります。

研究テーマとしてはさまざまなものが想定できますが、例えばシンクタンクの職員が自然災害の激甚化の中で「水害に強いまちを創る」という課題に直面したときのことを考えてみましょう。都市域での異常気象・極端現象を予測するためには、気候学・気象学や都市環境工学の教員の指導が必要ですし、都市の水害・氾濫予測を行うには、土木・河川工学の教員のサポートも必要になります。雨水の地下への浸透機能を評価して安全な都市空間をつくるためには、都市計画学や水文・水資源学の教員の知見が不可欠ですが、同時に豊かに住み続けられる街をつくるためには歴史・文化保全のために、建築史や人文地理学の教員の協力も欠かせません。

こうした多様な分野の教員の協力を得ることは、従来の大学・大学院のタテ割りの研究・教育体制では極めて困難でしたが、環境学研究科では、理学・工学・人文社会科学を背景にした3つの専攻が協力することで、それを可能にしてきました。「知の共創プログラム」は、その環境学研究科の利点を最大限生かすために、「多分野の教員による集団指導を制度化」したことが最大の特徴です。「知の共創プログラム」に参加される社会人は、博士後期課程の入試の前に十分な時間の余裕をもって、主指導教員と研究テーマ(自らが直面する問題)について話し合い、主指導教員と共に効果的な集団指導教員の体制を構想して頂くことになります(詳しい入試の手続きについては、環境学研究科の院生の募集要項・受験案内を参照してください)。

特色2. 分野や立場を越えた院生間での相互交流

「知の共創プログラム」の受講生は、研究科共通科目である「知の共創プログラムセミナー」(通年2単位)を必修単位として受講することで、「博士(環境学)」の学位を申請することができます(博士号を申請するためには、この2単位を含む、専攻毎のセミナーなどの計8単位の取得のほか、査読付き雑誌での論文1篇以上の出版もしくは受理、学位論文を提出して審査を受けること、などが必要になります。詳しい博士号取得の手続きについては、環境学研究科ホームページの教務欄・シラバスなどを参照してください)。

「知の共創プログラムセミナー」は、集団指導チームによる社会人院生への「個別指導」のほかに、定期的に毎月行われる個別の受講生から研究科の全ての教員・院生に向けた「公開コロキウム」および、春学期と秋学期の期末に行われる受講生のチームが決めた共通のテーマに関する公開の「合同シンポジウム」から成ります。それぞれの場で受講生は、環境学研究科のさまざまな分野の教員や院生と個別的もしくは集団的に交流すると共に、受講生の相互間でも交流を促進することができます。行政や企業、NPOなど社会のさまざまな現場で活躍しておられる多様な社会人の皆さんが、日頃の立場の違いを越えて、対等な関係性のもとで互いに交流を深めること、そしてその交流の輪に教員や他の多くの非社会人の院生や学生が参加することで、環境学研究科の内と外に多様な問題を多様な視点から考えて行ける学術的コミュニティーを形成していくことが、「知の共創プログラムセミナー」の最大の目標になります。