知の共創プログラム

公開コロキウムの実施実績

第3回公開コロキウム

日時
2025年10月16日(木)(オンライン)17:15-18:45
発表者
山﨑 慶太
タイトル
畳の歴史・普及における日本の社会・文化・環境の影響
要旨
上下足分離の生活様式は、世界的にみて非常に珍しい文化であり、履物(靴)を脱いで上がる板床には筵や畳が敷かれてきた。 畳は主に、藁、筵を重ねて縫い締めて作った畳の芯で、これで畳の柔らかさ、見映え、耐久性を決める「畳床」、畳の表に付けられる藺草と麻糸で織られた茣蓙で、これが畳独特の香りを出し、足裏や床坐の感覚を決める「畳表」と、「畳縁」で構成されている。 本研究では、置畳として使われた中世から、畳が敷き詰められるようになり普及した近世以降を対象に,文献・古文書調査とともに、文化財畳保存技術会の協力を得て畳職から畳床の進化の歴史についてヒアリングする一方、畳表については生産地を視察した後、西川家文書で畳表の売上・仕入れ・価格の変動を詳しく調査した。 それぞれの結果から、畳の歴史・普及における日本の社会・文化・環境の影響を検証した。

第2回公開コロキウム

日時
2025年7月9日(水)(オンライン)17:15-18:45
発表者
山﨑 陽子
タイトル
宿泊業における労働力のモビリティと需給調整システム:地方都市におけるデジタルプラットフォームの活用事例を踏まえて
要旨
本研究は、地方都市における宿泊業を対象に、デジタルプラットフォームを介した短期・非定住型就労が、いかにして地域社会に制度的に定着し、継続的に活用されているのかを明らかにするものである。 少子高齢化や地域経済の縮退により人手不足が深刻化するなか、柔軟な働き方を可能にするプラットフォーム就労は、新たな労働移動の仕組みとして注目されている。 本研究では、具体的な地域事例を通じて制度的定着の構造を検討することを目的とする。 本発表では、研究計画の全体像を概説したのち、調査対象地の予備調査の経過と、そこから得られた初期的知見を報告する。これらの知見は、新たな労働力確保のモデルと地域社会の持続可能性に関する示唆を与えるものである。

第1回公開コロキウム

日時
2025年6月19日(木)(オンライン)17:15-18:45
発表者
齋藤 芳子
タイトル
モード1科学における市民参画の多様性と成立要件
要旨
本研究の目的は、モード1科学における市民参画の種々の形態に着目することで、モード1科学における市民参画の多様なあり方を描き出し、多層的な協働と分業の状況とその成立要件を明らかにしていくことにある。その背景には、科学技術への市民参画が注目され、政策の俎上にも乗っている一方で、その議論が「欠如モデル」的で、かつ、モード1科学領域における市民参画についての議論の蓄積が少ないことがある。
本発表では、研究計画の全体像を説明したのち、本研究で取り上げる事例の1つである、クラウドファンディングを通じて金銭的支援を行う市民についての調査の経過を報告する。