知の共創プログラム

公開コロキウムの実施実績

2026年度全体セミナー

日時
2026年10月27日(火)14:00〜17:00
場所
環境総合館1階 レクチャーホール(オンラインとのハイブリッド開催)
発表者
堀部篤樹、濵田修至、篠元貴之、榊原節子、Aniesa Norma Dantie、宮澤賢治
タイトル
シナジーから考える、よりよい環境のつくり方 ― Hamemayu Hayuning Bawana:美しいものをさらに美しく ―
要旨
本セミナーでは、ジャワに伝わる伝統哲学「Hamemayu Hayuning Bawana(すでに美しいこの世界を、自然や他者との調和により私たちの手でさらに美しく保ち続ける)」を出発点として、建築、都市、地域、制度、学習、コミュニティなど、多様な実践におけるシナジーの可能性を探る。計画された空間や仕組みは、それ単体では社会的価値として定着しない。 実際の使われ方や人々の参加、日々の運用や評価を通じて初めて意味を持ち、持続可能な環境へと育っていくものである。本企画では、各登壇者が自身の研究・実務をもとに、異なる主体・領域・時間が交わることで生まれる共創のプロセスを報告し、よりよい環境をつくるための実践知を共有する。

プログラム
14:00-14:10 趣旨説明
14:10-16:10 事例報告(各20分)
・対話から始まる環境づくり ― 学校づくりにおける共創とシナジー ―(堀部篤樹)
・高度経済成長期における大手私鉄の沿線外開発 ― 索道開発の比較からみる名鉄グループによる開発の特異性 ―(濵田修至)
・つくられた屋上から、使われる環境へ ― 設計意図・運用・利用実態のシナジー ―(篠元貴之)
・地域資源と社会的実践のシナジーによる都市再生(榊原節子)
・The Role of Social Networks among Foreign Residents in Hamamatsu, Japan, in Enhancing Urban Resilience and Strengthening Disaster Risk Reduction Synergy(Aniesa Norma Dantie)
・産官学連携により構築された地域循環共生圏の形成過程におけるシナジー(宮澤賢治)
16:10-16:20 休憩
16:20-17:00 パネルディスカッション(参加者との質疑応答を含む)

第6回公開コロキウム

日時
2026年11月5日(木)17:15~18:30(オンライン)
発表者
DANTIE Aniesa Norma
タイトル
Hidden Social Vulnerability of Multicultural Urban Society in Japan
要旨
Disaster risk is driven by both hazards and social vulnerability, but disaster management still focuses mostly on hazards. This gap matters most in multicultural cities. Japan now has over 4 million foreign residents. Hamamatsu, located in Shizuoka Prefecture (8th largest foreign population among Japan’s prefectures), has foreign residents making up about 4% of its population, many living in high-risk southern wards. The city provides multilingual information and Bosai leader training, yet contact with trained foreign leaders faded, and preliminary interviews with Brazilian residents show different disaster risk perceptions and low preparedness. This study asks how to build inclusive disaster risk reduction (DRR). Using interviews, GIS gap mapping, and social network analysis, it will produce an inclusive DRR model and policy briefs. Inclusion should mean adapting DRR institutions to a multicultural population, not only asking foreign residents to adapt.

第5回公開コロキウム

日時
2026年10月15日(木)17:15~18:30(オンライン)
発表者
篠元 貴之
タイトル
都市建築における屋上・テラス空間の公共性に関する研究 ―東京都の事例にみる配置構成と公開性・滞在性の検討―
要旨
屋上・テラス空間には、人々の滞在や活動の場となるものがある一方、利用を想定して設けられていても、その役割が十分に発揮されていないとみられるものがある。本研究は、こうした違いを生む条件を、空間の成立経緯、建築計画上の配置、供用後の運用と利用実態を対応させながら探ることを目指している。
現在は、その第一段階として、人の利用を想定した屋上・テラス空間が、建築のどこに、どのような組合せで配置されているかを整理している。東京都内の建築専門誌掲載事例を対象に、頂部と中間階への配置、配置階の単一・連続・分散の組合せから7類型を設定し、年代、設置階、隣接用途、方位などとの関係を集計・照合している。
本発表では、対象事例の抽出方法と分類の考え方、現段階の集計結果を示し、各類型から読み取れる特徴と、追加の確認が必要な点を整理する。これを通じて、今後、配置構成と運用・利用実態との関係を検討するための基礎的な枠組みを示す。

第4回公開コロキウム

日時
2026年7月23日(木)17:15-18:30(オンライン)
発表者
濵田 修至
タイトル
近現代における名古屋鉄道グループによる開発の再評価に関する研究
要旨
高度経済成長期の日本において、私鉄事業者は鉄道事業に加え、観光・不動産・レジャー事業を組み合わせた多角的な地域開発を展開した。なかでも名古屋鉄道グループは、中部圏を中心に広範な開発を手がけ、地域空間の形成に大きな役割を果たしてきた。しかし、その活動はこれまで主に沿線開発の文脈で論じられることが多く、鉄道沿線を超えた地域開発や、それを支えた空間形成の特質については十分に検討されてこなかった。
本研究は、近現代における名古屋鉄道グループの開発を再評価することを目的とし、山岳部における新穂高ロープウェイ開発と、海浜部における知多新線延伸に伴う地域開発を対象とする。両事例は異なる地域環境を背景としながらも、交通インフラを基盤として観光・滞在機能を組み合わせ、地域空間を形成した点で共通性を有している。
本発表では、とりわけ現在資料収集・分析を進めている新穂高ロープウェイおよびホテル穂高を中心に報告する。新穂高は、急峻な山岳地形や国立公園制度といった強い自然的・制度的制約のもとで計画された事例であり、地域を構成する自然因子(地形・地質・景観等)と人工因子(交通施設・建築・制度等)との関係が比較的明瞭に読み取れる。本研究では、設計図面・社史・計画資料等の一次資料に基づき、これらの因子が空間形成に与えた影響を分析する。
さらに、中部開発センターによる広域開発構想やそれに関連する計画思想との関係も視野に入れ、名古屋鉄道グループの開発を単なる事業展開としてではなく、地域空間形成の実践として捉え直すことを試みる。以上を通じて、民間企業が担った地域開発の役割とその空間的意義を再評価することを目指す。

第3回公開コロキウム

日時
2026年7月8日(水)17:15-18:30(オンライン)
発表者
榊原 節子
タイトル
都市再生における地域の固有性の変容に関する研究―大都市のインナーシティと地方中心市街地の再生事例を比較して―
要旨
近年、日本各地で都市再生が進められ、新たな地域価値の創出が試みられている。これらの都市再生の動きは、単に物理的環境を更新するだけでなく、その地域の歴史や文化、産業や暮らしなどの「地域の固有性」に影響を与える。再生によって地域の固有性が再認識される一方で、新たな主体の参加や空間変化により、今までの地域の固有性が変容する場合が少なくない。本研究では、再生における地域の固有性の変容・再構築のあり方について、①大都市のインナーシティ、②地方の中心市街地の都市構造が異なる2つのエリアの事例調査から明らかにする。
両者を比較分析することで、都市構造の違いが再生過程や地域の固有性の変容のあり方にどのような影響を及ぼすのかを考察する。加えて、他地域へ展開できる共通点や知見を得ることを目指す。

第2回公開コロキウム

日時
2026年6月18日(木)17:15-18:30(オンライン)
発表者
堀部 篤樹
タイトル
学校づくりにおける設置者主導によるユーザー参加型対話プロセスの制度化と継承に関する研究 ―複数自治体の横断比較を通した建築段階別分析―
要旨
近年、公立小中学校の学校づくりにおいて、施設を社会的基盤と捉え、利用者が設計段階から関わる「ユーザー参加型の設計プロセス」が重視されています。しかし現状の実践事例は大規模事業等に偏っており、対話の進め方が特定の設計者の経験や力量に大きく依存しているのが実態です。結果として、自治体内にノウハウが蓄積されず対話が「仕組み」として制度化されていない点や、設計段階の理念が運用段階へ引き継がれず希薄化してしまう課題が存在します。
本研究は、公立小中学校の学校づくりにおける、設置者主導による「ユーザー参加型対話プロセス」の制度化と継承の仕組みを解明することを目的とします。構想から運用に至る建築段階を連続した「対話プログラム」と捉え、継続的な実践を展開するI市等の横断比較を通じて分析します。対話を継続させる条件と理念を運用へ引き継ぐ構造を明らかにし、事業規模等に依存せず自治体組織として再現可能なモデルの実装を目指します。

第1回公開コロキウム

日時
2026年5月28日(木)17:15-18:30(オンライン)
発表者
井上 智博
タイトル
古気候データと遺跡調査データを用いた農業景観変遷過程の研究
要旨
大阪府河内平野では、1960年代以降の都市開発によって、農業景観は大きく改変された。その結果、この地域の地理・歴史に関する知識・情報の多くが失われ、水害リスクなどの認識が希薄になっているように思われる。一方で、この地域では考古遺跡の発掘調査が多数実施され、地質学などと連携して弥生時代以降の農業景観の変遷過程を復元する研究が進められている。今回の発表では、高精度古気候データと遺跡調査データを用いて、河内平野の農業景観変遷過程を復元する取り組みを紹介する。また、そうした研究成果を、地域における防災・減災や今後のまちづくりに生かすための視点についても言及したい。