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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

チェコの黒い三角地帯にみた環境破壊から

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社会環境学専攻 環境政策論講座
香坂 玲 教授
 (専門:国際自然資源管理論、林政学、生物多様性・遺伝資源)

環境問題に関心を持つようになった原体験の一つに東欧のチェコでの露天掘の炭鉱を学生時代に訪問したことがあります。黒い三角地帯と呼ばれるエリアの街で、共産主義時代に作成された映像では、街の教会を丸ごと持ち上げ、レールに乗せて移動させたことが宣伝をされていた一方で、残りは街ごと爆破し、住民は強制的に団地に移住という実態を現地の友人が説明してくれました。
そのようなことがきっかけと、当時教鞭をとっていた石弘之先生からの紹介もあって、共産主義から体制転換して間もない隣国のハンガリーにおいて、1997年から中東欧地域環境センターで研修と勤務をしました。ドイツのフライブルク大学では森林分野で博士号を取得しました。本学とも交流があり、深い縁を感じています。その後、カナダの国連環境計画の生物多様性条約に勤務していたところ、当地・愛知県名古屋市においてCOP10などが開催される見込みとなり、支援実行委員会のアドバイザーなどを経験する貴重な機会に恵まれました。名古屋議定書や2020年までの愛知目標などの合意に居合わせたことは望外の喜びでした。
国際的なプロセスに加え、能登半島、東北エリアの地方創生や生態系サービスに関わる活動に参画して参りました。山菜、養蜂、伝統野菜などの恵みと地理的表示の保護制度、UNESCOエコパークやFAOの世界農業遺産の実情と、食や観光、地域資源の活用など地方自治体の戦略についての研究をして参りました。
今後、研究科のメンバーとして研究できることを楽しみにしております。
(こうさか りょう)

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