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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

災い転じて福となす

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減災連携研究センター
福和 伸夫 センター長・教授
 (専門:建築耐震工学、地震工学)
本教員のプロフィール

私は1991年4月に建築学科に助教授として着任しました。それまで清水建設に10年間勤務し、構造物と地盤との動的相互作用に関する研究をしつつ、原子力発電施設や大型宇宙構造物、免震構造などの開発・設計や、微振動、知識工学などの研究に携わっていました。当時の大学は、研究環境は劣悪でしたが、時間はゆったり流れていました。ですが、着任早々、大学院重点化や、高速道路と地下鉄建設への振動対策が始まり、また、上司から拡建築を目指せと言われ、新たな研究課題を模索することになりました。
状況が一変したのは、1995年兵庫県南部地震です。地震対策の最前線に立たされてしまい、慌てて、地震被害予測や強震動、地下構造の勉強をし、地震防災研究に舵を切りました。1997年に先端技術共同研究センターの教授になり、自治体や産業界と共同で耐震化推進に取り組みました。
そんな中、南海トラフ地震の問題の大きさを感じ、環境学研究科設立と共に、文理工が連携した安全・安心プロジェクト創出を担うことになりました。ほぼ同時期に、東海地震の震源域の見直しがあり、名古屋も地震防災対策強化地域に指定されたため、地震防災ホームドクター宣言をし、その後、中京圏地震防災ホームドクター計画と名付けた活動を10年間続けました。その間、災害対策室を設立したり、キャンパス内の建物の耐震改修や耐震設計などに携わりました。
2010年には、南海トラフ地震対策を本格化させる必要を感じ、減災連携研究センターを設立し、2012年にセンターに異動しました。その後、減災館建設や、あいち・なごや強靭化共創センターの設立などを通し、地震防災研究を進めています。最近は、産官学民連携を推進しつつ、南海トラフ地震臨時情報への対応や本年10月に笹島で開催予定の防災推進国民大会の準備に追われています。
必ずくると言われている震災を、「災い転じて福となす」よう、地震防災研究者の一人として社会の皆さんと共に備えを進めていきたいと思っています。減災館来館者も7万人を超えました。是非、一度お立ち寄りください。
(ふくわ のぶお)

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