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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生ががそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

災害に強い鉄筋コンクリート造建物

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都市環境学専攻 建築学系
日比野 陽 准教授
 (専門:鉄筋コンクリート構造,耐震工学)
本教員のプロフィール

「環境学と私」の執筆は今回で2度目になります。2009年に環境学研究科を離れ,11年ぶりに戻ってきました。この11年間で社会が大きく変化したことはもちろん,名古屋大学のキャンパスも大きく変わったことに驚いています。私の専門は鉄筋コンクリート構造ですが,この11年間には2012年の東北地方太平洋沖地震や,2016年の熊本地震が発生し,鉄筋コンクリート造建物の設計法に変化をもたらしました。これまであまり考えられていなかった津波への対策や繰り返しの大地震への対策などが議論されるようになりました。
近年,私が取り組んでいるのは,粘り強く損傷の少ない鉄筋コンクリート構造を実現する技術の開発です。鉄筋コンクリート構造のひび割れは,建物の外観や使用性に大きな影響を及ぼします。大地震時に耐えても,大きなひび割れが多く生じていれば,建物を継続して使用するための修復に多大な時間を要します。また,軽微で構造的に影響がないひび割れが発生しているだけであっても,心理的な不安から使用者が継続使用をためらい,結果的に使用できなくなることもあります。継続的に使用できなければ,災害後の復旧を妨げるとともに,私達の生活にも支障をきたすことも考えられます。災害に強い建物を作るためには,耐震設計法に従って地震に強い建物を作るだけでなく,災害後の復旧性なども考慮に入れて設計する必要があると言えます。
したがって,災害に強い鉄筋コンクリート造建物を実現するためには,粘り強いことはもちろん,大地震時においても災害後の建物の調査や修復作業などに要する人手が少なくなるよう,構造的な工夫や技術によって,損傷がなるべく生じないような構造にしておくこと,容易に修復できる構造にしておくことが重要であると言えます。加えて,建物の被災情報を迅速に集められるような仕組みを整備しておけば,さらに迅速な復旧が期待できるのではないかと考えています。
このように,災害に強い鉄筋コンクリート造建物を考えていくことは,安全・安心な社会の実現に繋がる環境学の実践と言えるのではないでしょうか。
(ひびの よう)

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