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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生ががそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

「環境」としての宗教のおもしろさ

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社会環境学専攻社会学講座
横井 桃子 助教
(専門:宗教社会学、社会調査法)

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信仰の有無の日米比較(データ出典:International Social Survey Programme)
現代の日本社会において、「宗教」は馴染みのないものかもしれません。私が専門とする宗教社会学は、「宗教」を社会学の理論や考え方で読み解き、宗教と社会の関係を俯瞰する学問です。人々の悩みや苦しみに対して一定の道筋を示す、いわば心の問題を取り扱うはずの「宗教」が、どのように「社会学」として成立するのでしょうか。
私の研究テーマは大きく2つあります。まず、宗教コミュニティにおけるジェンダー問題を追究する試みです。日本の伝統仏教の寺院は、住職と呼ばれる僧侶とその子孫たちが“住職”という役職を継承していく世襲制が一般的です。つまりそこには「僧侶と配偶者と子ども」という一つの家族が存在しているのであり、彼らと信徒や住民たちが協力して寺院運営を担っています。こうした中で、僧侶の配偶者――その多くが女性である――の役割がどのように規定されるのか――たとえば、家族との協議、信徒からの期待、自身の意識に沁みついた暗黙のルールなど――をインタビュー調査によって解明します。宗教をジェンダー・家族・地域という社会学的観点から読み解くことで、宗教の新たな側面を描き出そうとしています。
もうひとつは、成人一般の宗教性(宗教意識)を国際比較を通して数量的に明らかにすることです。人口の7割以上が宗教を信仰するアメリカと比べ、日本では宗教を信仰する人は3割程度に過ぎません。かといって墓参りや初詣をおこなう人の多さを見れば、「日本人は無宗教」とは言い切れません。日本には宗教そのものを信じていなくても、「なんとなく. . . . .宗教的なもの. . . . を大事に思う」人たちが多いのです。信仰の有無だけでは測りきれない宗教意識を、キリスト教や仏教という宗教の違いや国を越えて比較することで、日本の特徴が浮かび上がってくると考えています。
いずれも「環境」に直結したテーマとは言えませんが、一方で「環境」は、宗教社会学を社会学たらしめる重要な要素だと思います。ある人の置かれている「環境」がいかにその人の意識や行動に影響を及ぼすのかを追究することこそが、社会学の醍醐味であるからです。
(よこい ももこ)

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