環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。
子どもとともに見つめる地域社会

社会環境学専攻 社会学講座
SONG Gijung 助教
本教員のプロフィール
私は韓国で生まれ、日本に留学し、そのまま日本で研究者になりました。現在はキューバ出身の夫と、日本で生まれた8ヶ月の息子と暮らしています。家庭では韓国語、スペイン語が飛び交い、息子は外国にルーツを持つ子どもとして日本社会で成長しています。
環境学研究科の博士課程では、愛知県豊田市のブラジル人集住地域、保見団地をフィールドに、日系ブラジル人第二世代の教育やキャリア形成について研究しました。現場では、さまざまな困難を抱える人々に出会う一方で、自らの経験を生かし、地域活動や教育、多文化共生の現場で活躍する人々にも出会いました。 外国にルーツを持つ人びとは支援を受ける存在であるだけでなく、地域社会を支える存在にもなり得ることを学び、一人ひとりのライフストーリーを通して、人と社会環境との相互作用を研究してきました。
もともとは、異なる文化や背景を持つ人々への関心から始めた研究でしたが、息子が生まれたことで、その研究は私自身の暮らしとも重なるようになりました。親として願うのは、外国にルーツを持つことが息子にとって「ハンディ」にならないことです。そのためには家庭での努力も大事ですが、子どもを取り巻く地域環境も重要だと考えています。日中、息子を預けている学内保育園では、多様なルーツを持つ子どもたちが生活しており、みんなの文化的背景がごく自然に受け入れられています。一方で、これまでの研究では、周囲の何気ない一言や日常の小さな出来事の積み重ねによって、子どもたちの成長や自己認識が大きく左右される姿も数多く見てきました。だからこそ、子どもを支える地域環境の重要性を日々実感しています。
着任後は、名古屋市内の地域日本語教室をフィールドに、外国人支援者のライフストーリーやキャリア形成について研究しています。 私自身も外国にルーツを持つ家族の一員として、調査で出会う人々とともに暮らし、ともに悩み、ともに考えながら、外国にルーツを持つ人びとが社会とどのように関わり、その関わりが人びと自身や地域社会にどのような影響を与えていくのかを明らかにしていきたいと思います。
(そん きじょん)