環境学と私

このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

協働を研究する、という環境学

社会環境学専攻 環境政策論講座
紀平 真理子 助教
本教員のプロフィール


私と「環境」の出会いは、「環境にやさしい」という言葉への違和感から始まりました。もともと農業に関わる仕事をしていたこともあり、農業という営みには環境にやさしいことと相反する側面がどうしても存在します。それでも「環境」を避けては通れないという予感を抱えたまま、そのもやもやに背中を押されるようにして学問の世界の門を叩き、2022年から本研究科の学生、2025年より教員としてお世話になっています。

この違和感は、サステナビリティという概念に出会うことで腑に落ちました。すると今度は、「どのようにしてサステナブルな社会へ転換すればよいのか」という新たなもやもやが立ち上がりました。これは環境学の重要な問いでもあり、実現するためには、さまざまな分野の専門家と「非専門家」が協働する「共創」、すなわち超学際研究が欠かせません。

私は特に、農業や漁業の一次産業事業者が関わる協働の事例に着目しています。この生業と絡み合う実践の場では、きれいごとでは済みません。同じ「問題」を前にしても、何を問題として設定するかのズレ、利害のズレ、技術の解釈の違いから協働が瓦解していく事例。一方で、複数の問題が単一の「社会的課題」に収斂されてしまう事象もあり、困難が次々と立ち現れます。これは非専門家が「知らないから」といった欠如モデルや、専門家と非専門家の「分断」として単純に語れるものではありません。こうして、超学際研究のプロセスそのものを研究する「協働の研究」に足を踏み入れることになります。

現在は、海草・モズク・ウミガメをめぐる超学際研究や、賛否が入り混じるオーガニック給食の導入を事例に、その研究プロセスや協働のズレを映像やビジュアルを用いながら可視化し、解きほぐそうとしています。そして、どこに働きかければ転換への糸口になるか、そうした「介入の起点」を見つけていきたいと考えています。今日もモズク漁船に乗り、田や畑を訪れる。これが現在の私と環境学です。

有機農業のフィールド調査にて
養殖モズク漁船にて

(きひら まりこ)