環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。
バランスの中で生きる

環境学研究科 都市環境学専攻 持続発展学系 環境機能物質学講座 2020年度(令和2年度)修了
未来社会創造機構 脱炭素社会創造 センター 研究員
中村 勇斗
本教員のプロフィール
環境学研究科を卒業してから、もう5年ほどが経ちました。この5年間は、波に乗れたこともあれば、飲まれそうになったこともあり、振り返ると本当にさまざまな出来事がありました。仕事について言えば、卒業後はIT企業でエンジニアとして働き始めましたが、現在は大学に戻り、未来社会創造機構で研究員として働いています。行ったり来たりしながらゆらゆらと揺れていますが、それでもなんとか目的の島へ向かって少しずつ進んでいるつもりです。
環境学研究科では、環境学という視点のもと、実にさまざまな分野について学ぶことができました。自然科学全般に興味のある自分にとって、とても恵まれた場所だったと感じています。ここで学んだことは、今でも人生の大きな糧になっています。
中でも特に印象に残っているのは、環境科学の授業で触れたロトカ・ヴォルテラモデルです。被食者であるウサギが増えると、少し遅れて捕食者であるオオカミが増える。オオカミが増えると、ウサギは減っていく。しかしウサギが減ると、それを捕食するオオカミも減少します。そしてオオカミが減ると、再びウサギが増えていく。生物の世界は、このような周期的なバランスの中で成り立っているのだと知りました。自分の人生もまた、このモデルのように、絶妙なバランスの上に成り立っているように感じています。
私には大切にしている言葉が二つあります。
「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」(ポール・ゴーギャンの絵の題名)
「食べろ、飲め、遊べ、死後に快楽はなし」(ラテン語の格言)
この二つの言葉は一見相反するようでいて、実は表裏一体の関係にあると思っています。 前者は世界の根源を問い続ける姿勢であり、後者は今この瞬間を生きることを肯定する姿勢だと感じています。 方向性は異なっていても、世界そのものへの強い関心や思いを持っている点では共通していると感じます。
私にとってこの二つの思いは同じくらい重要で、どちらかに寄りすぎるとバランスを崩してしまいます。最初にも述べたように、人生には波があり、時には飲み込まれそうになることもあります。そんなとき、どちらか一方に偏りすぎている自分に気づき、もう一方へのエネルギーを少し強めることで、バランスを取りながら過ごしています。
このように自分の人生を多角的に捉えようとする姿勢は、環境学研究科で多様な学問に触れられた経験があったからこそ育まれたものだと感じています。この文章を書いた後の5年間にも、そしてその先にも、きっと様々な出来事が起こるでしょうが、この場所で培った視点を携えながら、進んでいきたいと思います。
(ナカムラ ユウト)