ホーム > 環境学と私

このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

岩石を知る・地球を知る

顔写真

地球環境科学専攻 地球惑星科学系
纐纈 佑衣 助教
本教員のプロフィール

写真
アメリカ西海岸フランシスカン帯のエクロジャイト。地下40km以深で変成作用を受けた岩石。沈み込み帯内部について知る上で重要な試料
あなたは地球の中身を見た事はありますか?そしてそれを手に取ってみた事はありますか?現在、人類が地下を掘削した最大深度はせいぜい12kmで、半径約6400kmの地球のほんの表面にすぎません。なので、地球の中身の物質を直接採取して手に入れることはまだまだ将来の話なんです。でも、そんな掘削が到底不可能な深い場所の物質は、実は簡単に手に入れることができます。それが、身の回りにある岩石です。地球の中身は常に流動しており、一連のダイナミックな流れによって、地下の物質は岩石として地表に出てくる事があります。言い換えれば、岩石は地球の中身を記録した貴重な資料なのです。私たちは、岩石を野外で採取して研究室に持ち帰り、様々な装置を駆使して読み取ることで、地球の中身の様子を明らかにしようとしています。
岩石と一口に言っても、マグマが固化して形成された火成岩から砂や泥などの堆積物が固化した堆積岩など、さまざまなものがありますが、特に私が研究対象としている岩石は、地下深部で変成作用を受けた変成岩です。変成岩の中には数百km以上の深部からはるばるやって来たものもいます。変成岩の中に含まれる鉱物には、その岩石が過去に通過した地球内部の温度・圧力・化学組成・応力やその鉱物が成長した時の年代などさまざまな情報が記録されています。現在、私は岩石が経験した温度や圧力を読み取る手法の開発を進めており、新しい手法を使って地球の内部を詳細に知ろうとしています。
私たちの身近にある岩石は、私たちの知らない地球の内部・地球の歴史を記録した塊です。今まで何気なく眺めていた岩石も、こう聞くとすごいやつに見えてきませんか?夜空を見上げて地球の外側の広大な宇宙に思いをはせる方は多いと思いますが、反対に足元にある岩石を眺めて地球の中身に思いをはせてみるのもいかがですか?
(こうけつ ゆい)

PAGE TOP