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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生ががそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

失敗してもいい遊び環境の大切さ

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社会環境学専攻地理学講座 客員准教授(富山大学准教授)
大西 宏治

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ミニ・ミュンヘンで家づくりに
挑戦する子どもたち
私は地理学の立場から子どもの生活空間・遊び環境について研究しています。子どもが屋外で遊ぶ姿を見なくなったといわれます。少子化が進み、子どもが通う習い事の数が飛躍的に増え、放課後の時間が自由でなくなりました。約束しないと地域の中で友達と出会えませんし、かつては地域の様々な場所を遊び場に使えましたが、今では公園など決められたところでしか遊べません。このように時間と空間に制約が生じ、その結果、仲間が集えず、屋外での遊びが衰退していきます。そのような状況だからこそ、一人で遊べるゲーム機が普及していったともいえます。
遊びは自発的な活動で親や教師が「遊べ」といって遊ぶものではありません。自己を取り巻く様々な環境と関係を持ちながら営むものです。明確な目的があるわけでなく、遊び方、ルールを自分たちでつくって楽しみ、失敗をすることも許容されます。現在では子どもたちの活動のほとんどに意味が付与され、何を達成するかが明確な活動ばかりになりました。自発的に活動して失敗が許容される遊び環境が失われつつあります。これは問題です。
「こどものまち」という活動があります。遊びによりすべてがつくられる模擬都市です。ドイツの「ミニ・ミュンヘン」が始まりといわれ、名古屋市でも毎年実施されています。遊びとしてアクセサリーや食べ物を作ったり、ものづくりの実験をしたり、カフェなどでサービスを提供して事業内通貨を給与や事業収入として得て、ものを買ったり、遊んだりします。このまちのすごいところは失敗が許されることです。起業して倒産しても、サービスを失敗しても、所詮遊び。また、障碍を持つ子どもでもカフェで仕事ができます。失敗しても大丈夫。このように子どもたちが「失敗できる」遊び環境を生活空間の延長線上に成立させられないでしょうか。失敗ができる心の余裕を提供し、失敗してもやり直せることを学べるのが遊び環境の重要な役割の一つです。このような環境の構築に大人の知恵が求められているような気がしてなりません。
(おおにし こうじ)

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