パリ・ヴァル・ドゥ・セーヌ国立高等建築学校および天津大学建築学院と合同建築・都市設計ワークショップを開催
大学院環境学研究科都市環境学専攻建築学コースでは、2018年4月23日(月)から27日(金)までの5日間、名古屋大学東山キャンパス環境総合館1階レクチャーホールを会場として、フランスのパリ・ヴァル・ドゥ・セーヌ国立高等建築学校(ENSA-PVS)と中国の天津大学建築学院と合同で、建築・都市設計ワークショップ(以下、WS)を開催しました。今回はENSA-PVSから都市計画や建築を専攻する17名の大学院生、天津大学から同じく大学院生・学部生15名と名古屋大学建築学コースの大学院生24名(うち4名はNUPACE生)の計56名が参加しました。国籍は8カ国にわたり、まさに国際的なWSになりました。WSの指導はENSA-PVSのBoris WELIACHEW教授、Marco TABET教授、天津大学の鄭穎副教授と張燁講師、本学の小松尚准教授と5名のティーチング・アシスタント(修士2年)が行いました。本WSは本学の建築学コースとENSA-PVSおよび天津大学の修士課程相当の学生を対象に、異なる文化的背景を持った学生同士が英語を共通言語にして一つの建築・都市デザインの提案をまとめる機会として2009年から開催しています。また本WSは、ENSA-PVSとは2009年度に、天津大学とは2015年度に締結した学術交流協定に基づいて、3校の協力の下、実施しています。例年、4月に名古屋で、9月にパリでWSを実施しており、今回は通算17回目のWSとなります。
今回は昨年と同じく、「Regeneration of Closed School Site as Cultural Crossing Place in City Center of Nagoya」と題して、児童数の減少を理由に2017年3月に廃校になった名古屋駅至近にある旧那古野小学校を新たな文化拠点として再生するための建築・都市デザイン提案を検討しました。この廃校跡地は名古屋都心の大きな公有の空閑地と言えますが、名古屋駅周辺では2027年のリニア新幹線の開通を見据えた再開発が進み、周囲に開発圧力が迫りつつある場所です。一方、跡地の東側には円頓寺商店街や円頓寺本町商店街、四間道など多様かつ個性的な地域資源が存在し、また近年では個性的なイベントや木造民家の飲食店などへの改修転用が進むなど、地域主体のまちづくりが年々盛んになってきています。よって、この廃校跡地はさまざまな社会・文化・空間的なコントラストの狭間にある場所であると同時に、それらをつなぐ結節点になり得る場所と言えます。実際、名古屋市は同様な考え方で、今年度中に本廃校跡地活用の事業プロポーザルを実施する予定です。
WSとしては、まずWSまでに各大学で敷地および周辺分析を行い、その結果を持ち寄ってWS期間中に日仏中の混成グループ(1グループ8名)で建築・都市デザインの提案を検討し、発表するための図面や模型を制作しました。WS初日は名古屋駅周辺の都市計画・まちづくりに関する講義を受け、各大学での事前作業の結果を共有し、廃校校舎の見学の後に本格的なグループ作業に入りました。3日目には中間講評会、5日目の夕方には成果発表会と送別会を行いました。この間、2日目午前には恒例の豊田講堂(槇文彦氏設計)見学を行いました。成果発表会では、各グループの調査・提案がA1版4〜6枚の図面と模型によって発表されました。議論や制作時間は短い時間ながら、どの提案もこの廃校敷地の今後の活用や建築・都市デザインのあり方を検討する上で大変参考になる内容でした。なお、この成果発表会には名古屋大学の教員や学生とともに名古屋市の担当課員も来場し、学生提案へのコメントとともに来場者間の意見交換が行われました。
《参考》今回および過去のWSの様子や成果については、下記ウェブサイトで紹介しています。
http://www.nuac.nagoya-u.ac.jp/topics/paris/paris.html
このWSの様子を収めたTABET教授制作の動画を見ることができます。
https://youtu.be/4SwSCMmWA_E