環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 アナロジーとしての環境政策論

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社会環境学専攻 経済環境論講座
加藤 尚史 准教授
(空間計量経済学)
費者にとって価格を知ることは大切です。生産者のコストを負担する必要があるからです。注意しなければならないことは価格が表示されるとは限らないことです。
ョッピングセンターで買物をすることを考えてみましょう。表示された価格を見ながら商品を選んでカートに載せてレジスターで集計される金額を支払ってパックすることになるかと思います。商品をパックして載せたカートが集計金額だけを記入したフォームとともに用意されているとすると、どうなるでしょうか。同じ商品をまとめて同じ金額で買うことになるとしても、商品の価格がわからないので、用意されたカートをレジスターに運んで集計された金額を支払うことに抵抗感を覚えるかもしれません。もっとも、価格を推定することは不可能でないことに注意する必要があります。買物をしようとする人に合わせていろいろなカートが用意されているとすると、ある商品についてひとつだけ異なるカートを見つけることができれば、そのカートとともに用意されたフォームと比較することができるからです。すべての商品について価格を推定するためには相当な数のカートが用意されていなければならないことになります。
宅を購入してある都市空間に居住することを考えてみましょう。都市空間をショッピングセンターに見立てると、住宅は商品をパックしたものと見なすことができます。部屋はいくつあって周辺の緑はどれだけというように構造と環境にかかわるファクターが商品に相当することになるかと思います。住宅を購入しようとする人が住宅を選んで金額を支払うことに抵抗感を覚えることはないはずです。これは構造ファクターや環境ファクターの価格がわかっていることを意味するのではないでしょうか。相当な数の住宅を比較することができます。
産者にとっても価格を知ることは大切です。消費者のニーズを捕捉する必要があるからです。緑の価格がわからないことは、都市の当局がコストを計算して住民のために緑化をするにあたって、望ましいことではないに違いありません。住宅についてデータを収集して環境ファクターの価格を推定することは、環境ファクターにかかわる政策を論じるうえで、役立つことになるのではないでしょうか。
(かとう たかふみ)
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