環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 臨床環境学と大学院教育

顔写真
持続的共発展教育研究センター
中村 秀規 特任准教授
(環境政策)
写真
伊勢湾ORTで訪問した人工林
は、博士後期課程学生を対象としたグローバルCOEプログラム「地球学から基礎・臨床環境学への展開」の最終年度取りまとめ活動の一環として、2013年度にラオス、中国、日本(伊勢湾流域圏)での臨床環境学研修(On-site Research Training(ORT))の学外実習に参加しました。グローバルCOEプログラムは終了しましたが、2014年度からは持続的共発展教育研究センターが事務局となり伊勢湾流域圏を対象にORTが継続されており、こちらの学外実習にも参加しました。
床環境学とは、持続可能な地域づくりに向けて、診断から処方・治療まで一貫して責任を持つ研究として提案されている概念です。私は、研究が研究としてのみ孤立しているのでなく、地域や社会での実践とつながり、自然から社会までを対象に問題と因果関係の把握を行い、診断と処方・治療に関する仮説を構築して実施・検証・学習する過程と理解しています。
たがって、ORTが目指す人材とは、多くの研究分野の活動を必要に応じてつなげたり、自ら異分野連携研究を実践したりできるとともに、地域や社会での実践と研究活動とをつなげられる人材だと考えます。地球規模の問題から地域の問題までを俯瞰できる広い視野と、問題の解決へ向けた実践的な提案と協働ができる柔らかな知性を持つ人材とも言えます。
ORT
には、異分野・異文化混合の学生および教員の配置、フィールドでの気付きと学び、診断から治療までを意識した研究、および地域パートナー・住民への提案といった一連のしかけが用意されています。地域パートナーとの信頼関係にもとづき、学生による試行錯誤が可能なことも重要なポイントと考えます。テーマ設定、分析、提案までのサイクルを、始めは小さく、そしてその後は大きく回して地域からのフィードバックを得られるまでに至ることが目標です。ORTを継続的な研究・実践にどのように発展させるか、あるいは社会連携事業とどのように関連づけるかが、今後の挑戦になります。
続可能な社会づくりをテーマとして、自ら異なる分野や立場の間でコミュニケーションと対話ができるようになるとともに、そうした場を構築していくための方法を考えていきたいと思います。
(なかむら ひでのり)
 本教員のプロフィール