ilZeroEnergyBudng)2023年度の非住宅建築物の着工数におけるBELS*1を取得したZEB(Netの実績は、面積ベースで約4280万㎡に対して約1200万㎡、おおよそろである(BELSを取得していないZEBもあるが、本試算では計上できていない)。建築物においても、ホールライフカーボンでの評価が求められており、ケーススタディによる新築建物の平均(建築物の構造や規模、エネルギー消費原単位などにより実際には異なる)では、オペレーショナルカーボンは55%を占めた*3。オペレーショナルカーボンの削減には、オンサイトでの省エネや再生可能エネルギー供給による貢献だけでなく、インフラ(電気や都市ガス等)のカーボンニュートラルへの貢献も反映される。建物のオペレーショナルカーボンを削減するのであれば、省エネせずとも建物に供給されるエネルギーインフラの脱炭素化で大幅に削減することはできるだろう。しかし、室内環境の維持・向上、レジリエンスへの寄与、エネルギーセキュリティの観点等からも、やはり建物の負荷の削減、さらに高効率機器の採用などの項目は今後も重要である。昨年度、沖縄の建物に採用された除湿に特化したデシカント空調機を見学した。ダブルスキン内の熱や空気熱源HP温水器からの冷排熱など、建物からの冷温排熱を巧みに活用したシステムであった。このシステムは、ダブルスキン内の熱と空気熱源HP温水器からの冷排熱がトレードオフとなる関係にあるため、エネルギー消費量が最小となるポイントを検討した*4。想定した負荷率―COP特性曲線では、ダブルスキン内からの熱を多く利用できるほど、デシカント空調機での消費電力量は少なくなる傾向にあった。建物から出る熱を巧みに活用したシステムは、温暖化時代においても室内の温熱環境を損ねることなく、エネルギー消費量の削減に貢献できるものと考えられる。建物のカーボンニュートラルに向けて、特にオペレーショナルカーボンについては、部屋単位・フロア単位・建物単位・建物群単位などのさまざまなスケールでの対応策が検討されている。建築物は、同じものが二つとしてないため、各個別建物への対応も重要だが、街区や地区単位での対応など、俯瞰した対応策も検討、実装していく必要があるだろう。i 環境学の未来予測の普及促進に向けた今後の検討の方向性について、2025年5月ンター・一般社団法人日本サステナブル建築協会、令和5年度ゼロカーボンビル(LCCO2ネットゼロ)推進会議報告書、2024年3月るバイオミミクリー型環境技術に関する研究(第4報)環境技術の展開に向けた検証、空気調和・衛生工学会大会、2025年9月発表予定28%であり*2、まだ道半ばというとこ*2資源エネルギー庁ZEB委員会、ZEB*1建築物省エネルギー性能表示制度エネルギー利用適正化達成に向けて専門は建築環境設備。再生可能エネルギー熱の効率的活用や設備の適正運用、設計・制御手法などを中心に研究活動を行っている。都市環境学専攻 建築・環境デザイン 鵜飼 真貴子 准教授鵜飼 真貴子*3一般財団法人住宅・建築SDGs推進セ*4村松宏、鵜飼真貴子他、蒸暑地域におけ09
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