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業所なんです。それに対して地域とどう連携するのか、地域の脱炭素化を進める上でも考えなきゃいけないのですが、その認識が大学側にないんじゃないかというのが、私の危機感です。西澤最後に、脱炭素社会構築に向けた価値観、行動変容について考えてみたいと思います。よくあるのは、経済性を考えないと普及していかない、世の中は変わらないという話。私は、それは後からついてくるものだと思っていて、スタートはそんなこと考えていないし、普及するのは、何かのきっかけだけじゃないかなって思っている。何かの気づきがあって、それが思いつきで行動変容につながるのでは、と。丸山日本はオイルショックの時、我慢の省エネへと一気に行動が変わりました。省エネとは我慢することみたいなイメージが強くあって、それを今も引き継いでいる。私は、やっぱりショック・ドクトリンは社会にとって不幸であり、なるべく避けた方がいいと思う。強い行動変容なしで問題を解決するとか、より快適な方へ、より便利な方へ、そういうプラスのインセンティブがあることが脱炭素的には理にかなっていて、そこの仕組みに知恵を出すことが大事なのかなと思います。あと、達成感を感じられるようなことをお勧めしていくのも大事ですね。日本は、結構「心がけ」みたいなもので動く社会なんで、特に政策を作る人が期待をしてしまう。それで動いちゃう。世界でも稀な国だということを前提に考えた方がいい気がします。日比野私の意見はメッセージ性が大事だと思うんですよ。脱炭素はメッセージとして若い世代には弱いかな。でも環境問題であれば関心が強いと思います。例えばウミガメの鼻にプラスチックストローが刺さった写真。あれで世の中が脱プラへと動きましたよね。脱炭素もそうですけれど、環境と上手く絡ませた方が人々の行動、意識を変えることもあるのかなと感じます。田中「ネット・ゼロ・エネルギービル」というのがあり、これは省エネ技術で建物で消費するエネルギーをできるだけ減らし、再エネ発電で使ったエネルギー実質ゼロをめざすものです。主にオフィスビル等を中心に普及が進んでいるのですが、それを大きな工場でやった事例があります。ゼロエネルギーの工場。これまで太陽光を乗せるくらいだったのを、建物の作り方からトータルでコーディネートして作った。工場としての新しい時代の幕開けみたいな感じで、     やっぱり気づきを与えるという時に、別用途で今まで通説だったものを持ち込んで、拓するというのは、脱炭素を達成する上ですごく重要なことかなと思います。西澤行動変容を起こすきっかけは、気づき。私が思うのは、身の回りのことをもう一度それぞれが見直すという、素朴な行為ではないかと思っています。今日はありがとうございました。(7月23日 新しい市場を開環境総合館)日比野常識をちょっと見直すというのかな。例えば今、授業開始は8時45分ですが、時間を少しずらすだけでもかなりエアコン代が違ってくる。季節に合わせて各自が自在に対応し、試験的に取り組んでみるのもありかもしれませんね。田中丸山先生と話したのは、農山漁村で、土地はあるけれども産業が衰退しているような自治体と連携して再エネ発電設備を整備し、そこから大学が電気を買う。連携する農山漁村ではインフラの整備や災害対策に、そのお金が役立てられるかもしれない。こういった双方にメリットを生む〝新しいしくみづくり□の可能性についてでした。西澤地域連携の形ですね。大学は地域で最大のエネルギー消費事人々の行動変容はどのように起こるのかる諸技術開発・評価、空調システムのシミュレーションモデル開発、ビルの運用・管理適正化のためのAIマネージメント手法などの研究に取り組んでいる。名古屋大学 施設・環境計画推進室 副室長、東海国立大学機構カーボンニュートラル推進室(兼任)。田中 英紀 たなか ひでき専門は建築環境設備工学。ZEBに資す07

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