名古屋大学大学院環境学研究科今号の表紙から読み解く環境学のキーワード35附属地震火山研究センター 准教授 都市環境学専攻 教授社会環境学専攻 准教授地球環境科学専攻 講師地球環境科学専攻 博士後期課程2年地球環境科学専攻 准教授 高台から見下ろすと、そこには整備された「新しいまち」が広がっていました。表紙の写真は、2022年の秋に撮影した宮城県南三陸町志津川地区の風景です。津波の浸水地域一帯は公園として整備され、川には立派な堤防が築かれました。嵩上げされた土地には観光交流の拠点としての商業施設がつくられ、震災前に住居を構えていた人々は高台へと移転しました。 地震、津波、火山噴火、大雨などは、地球の営みの一部である自然現象であり、それ自体が災害というわけではありません。自然現象の外力が人や社会に接すると、時として自然災害へと至るのです。つまり、自然災害は、地球と人間、双方の営みの相互作用の結果なのです。一方で、自然は人間の生存の基盤でもあります。自然災害の多発国である日本に住む私たちは、豊かな自然からさまざまな恩恵を受けながら日々の暮らしを営んでいます。 三陸海岸には震災直後にも訪れました。僅かな標高差が明暗を分けてしまった光景を間近に見て、復興の最優先事項は高台移転だと感じました。しかし、「新しいまち」を俯瞰していると、ここに住む人々が、津波の外力から守られて安心して暮らせると同時に、生存の基盤である自然から切り離されてしまわないように願わずにはいられませんでした。自然や生活の持続可能性と両立する減災対策、これは東海地方に暮らす私たちにとっても、重要な課題ですね。環境学研究科 附属地震火山研究センター 准教授 田所 敬一宇宙地球環境研究所 教授減災連携研究センター 教授社会環境学専攻 教授エコラボトーク自然と社会の相互作用としての災害環境学によるアプローチと対策への貢献を考える田所 敬一森 保宏室井 研二山崎 敦子環境学の未来予測 35スーパー台風が上陸する未来建物や都市の耐震性向上に向けてバンダアチェのその後環境学の授業拝見!海洋地質学Marc HUMBLET名大さんが行く 35屋敷 智咲坪木 和久飛田 潤高橋 誠vol.472024 autumn03081112
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