HTML5 Webook
12/12

編集後記● 今回は「地球環境問題へのアプローチ」をテーマに、各専門分野でご活躍の先生方にご自身の環境学に関わる取り組みについて執筆していただき、エコラボトークでは「過去へのアプローチ」に取り組まれている先生方に、自然と人の相互関係ついてお話をしていただきました。その中で話されていた「自然現象の恵みと災い」の関係は、人が自然とどう向き合っているかを端的に示していると思います。複雑化・多様化する地球環境問題を解く鍵は、わたしたちの生活様式を自然にもう少し委ね、自然と人との関係をよりシンプルに認識するところにあるように感じています。                             (淺原良浩)2021年3月【環・40号 広報委員会】 淺原 良浩(環40号編集委員長)室井 研二(広報委員長)坂井 亜規子井料 美帆〒464-8601 名古屋市千種区不老町 名古屋大学大学院環境学研究科TEL.052-789-3455www.env.nagoya-u.ac.jp/ 中国の国費留学生、江世君さん。室井研二准教授のもとで博士論文に取り組んでいます。テーマは「中国農村における貧困扶助政策とガバナンスに関する比較研究」。吉林大学の学部時代、黒竜江省の農村でフィールドワークをして以来、「農村」は江さんにとって重要な研究対象になりました。 中国で拡大する都市と農村の地域格差。政府も大規模な農村貧困扶助政策を展開しますが、その効果については更なる検証が必要と言われています。「農村内の立場の違い、不公平感など現実はもっと複雑だとフィールドワークで感じた。農民自身が扶助政策をどう受け止めているのか、農村社会の側から捉え直してみたかった」と江さん。農村において政策の理念が歪曲されていることを分析した修士論文を引き継ぎ、研究をさらに深めています。コロナ禍でフィールドワークができない今は、日本の農村について文献を読む日々。「日本では、農村の過疎化、高齢化、限界集落の問題が言われているが、中国でもそれはすでにトレンド。今後の中国に農村問題は強い影響力を及ぼす」と江さん。今後は広い中国の様々な地域でフィールドワークを行い、農村の比較研究もしたいと考えています。 「室井先生と研究テーマについて初めて話をしたとき、『社会学は常にパラドクスに着目し、批評する目が必要』と言われた」と江さん。農民の生活、農村地域社会の在り方、当たり前と見える状況のなかに何が起こっているのか。日本で学んだ社会学の視点を大切に、再びフィールドワークを始めます。将来は研究者の道へ。中国、日本それぞれの農村政策の研究を続けながら、両国の社会学の交流にも力を尽くしたいと語ってくれました。社会環境学専攻 社会学講座 博士後期課程 2年江世君(Jiang Shijun)さん宮脇 勝香坂 玲山岡 耕春編集/編集企画室 群デザイン/オフィスYR名古屋大学大学院環境学研究科名大くんが行く28

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る