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【写真4】貯金箱を造る子ども達 (2004.8.30撮影)温度が低ければ黒い、高ければ赤い素焼きの壺ができあがる。できあがった壺は主人が定期市や個人宅に売りにでかける。壺の他に多様な土器を造る。ヒンドゥー教の神々(写真3)、燭台、井戸枠、トイレ枠、貯金箱(写真4)、子供用おもちゃ土器、ポップコーン(はぜ穀物)製造土器などである。特にヒンドゥー教の神像造りの家は作品を雨期空けのプジャ(礼拝)に間に合わせるべく製作に余念がなかった。ところが、この壷造りというカースト固有の生業に最近大きな変化がみられるようになった。雑貨商、鍛冶職、お菓子売り、薬局勤めなどである。そんな中で最大の変化は海外出稼ぎ帰還者がサリーのプリント工場(写真5)を自宅の隣に建設したことである。この工場主は韓国への3年間の出稼ぎ後、その資金を元手に新事業に乗り出し、安定した職を提供するといった点で地元に貢献はしている。だだ、その一方で数十戸の壷造りの村でこの10年間にこうした工場が3戸も出来たことは、伝統的な壷造り業がやがては姿を消すのではと大いに心配されるところである。さらに、出稼ぎ者の多くが、帰国後、賃壺造りカーストの日常 ─ 生業と通婚 ─05

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