【写真1】 壷造り村の庭 (バングラデシュ、タンガイル県ミルジャプール郡ポストカムリ村にて2004.8.28筆者撮影、写真2〜7も同村にて筆者撮影)壷造りカーストの生業ムスリムの国でマイノリティのヒンドゥーは如何に生活しているのだろうか。2004年夏8、9月、雨期の真っ最中にバングラデシュを訪ね、ヒンドゥーの壺造り(パル)の村に入って、全世帯の家族構成、職業、既婚女性の出身地と嫁ぎ先などを聞き取ってきた。中庭での壺造り、神像造りに精を出すパルをみて、「壺造りは乾期にしか仕事ができなく、雨期には農作業をする」(『社会人類学』東京大学出版会、1987、193頁)という中根千枝説はいきなり否定され、また、お金がないから「土葬」なのよ、という一言でヒンドゥーは「火葬」と信じ切っていた常識が崩されてしまった。バングラデシュにおいてヒンドゥーは少数であるが、ミルジャプール郡(首都ダッカから北西約60km)には比較的その数が多く、中でも郡都ミルジャプールとその周辺の村々に多い。ポストカムリ村にはパル、アンドラ村にはラズボンシ(漁師カースト)が多く生活している。その他ミルジャプール郡で採取できたカースト名はバラ壺造りカーストの日常 ─ 生業と通婚 ─03壺造りカーストの日常 ─生業と通婚─溝口常俊 社会環境学専攻 地理学講座
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