ホーム > 知の共創プログラム

知の共創プログラムの狙いとビジョン

社会と大学による「知の共創プログラム」を開始しました -新しい大学院のあり方を目指して-
 

 環境学研究科では、国連が2015年に定めたSustainable Development Goals(SDGs)に代表される人類史的な問題の解決に向けて、ローカルからグローバルまでのさまざまなスケールで理学・工学・人文社会科学のそれぞれの立場から教育・研究に取り組んでいます。同じような取り組みは日本中・世界中で行われていますが、問題解決の目途が立ったとは言い難い状況にあり、さらに教育・研究を活性化する必要があります。その中では学問分野の垣根を越えた「学際的研究」と共に、研究者が社会の様々な立場の人々と連携して問題の解決に当たる「超学際的研究」が求められており、環境学研究科は正にその先頭に立っていくべき立場にあります。一方で日本の大学の研究力は、21世紀になって徐々に低下してきたと言われています。その背景には財政難によって大学予算の切り詰めが進み、少子高齢化も相まって大学院の博士後期課程への進学者数が急速に縮小してきているという現実があります。世の中から求められている大きな期待に対して、大学が本当に応えて行けるのか。今が正に、その正念場であると言っても過言ではないでしょう。

 大学の研究力が低下した原因の一つとして、短期的な成果を狙ったトップダウンの「選択と集中」(特定の学問分野への予算の集中)の弊害が指摘されていますが、SDGsをめざす取り組みでは、さまざまな社会の現場で互いに連関しながら同時多発的に起きている多様な問題への正しい認識を踏まえることが必要であり、ボトムアップの「多様性」のある教育・研究こそが求められています。そのために環境学研究科ではこれまでも教員と院生が社会のさまざまな現場に赴いて問題を直に診る「臨床環境学」の取り組みを進めてきました。その中で当然のことながら気づいたことがあります。それは、社会のさまざまな現場には問題と向き合いその解決を目指して奮闘する意欲と能力を持った人々が、年齢や立場の違いを越えてたくさん居られるという事実です。そうした「超学際研究」の主役となりうる方々と環境学研究科が、いかに連携していけるかが問われているのです。

 そのために2022年度から環境学研究科がはじめたプログラムが、博士後期課程に入学される社会人を対象にした「知の共創プログラム」です。「知の共創プログラム」は、行政や企業、NPOなどで活躍しておられる社会人の皆さんと環境学研究科が博士後期課程の教育・研究の枠組みを活用して直接連携することにより、具体的な環境問題の解決を目指す取り組みです。そのために本プログラムでは、3つの特色を用意しています。第1に、多分野に跨る複数教員による集団指導チーム。主指導教員を中心にした異分野の学際的な教員チームが問題解決をサポートします。第2に、社会人に合わせた柔軟な履修モデル。オンラインの活用はもちろん、仕事に合わせた「短期修了」や「長期履修」の制度の活用を進めます。第3に、知の共創のための研究費の支給。社会と大学が対等に協働するために本プログラムの院生には、希望に応じて「授業料相当額の研究費」を供与します(希望者が定員を越える場合は、審査の上で配分を決定します)。

 これまでの日本では、「多忙な社会人が継続的に高等教育を受ける」ということは想定されてきませんでしたが、欧米の大学では、社会人に学び直しの機会が広く提供されていて、それが持続的な社会変革のための基盤にもなっています。日本でも「多忙な人こそが学べる社会」を実現する必要があり、そのために環境学研究科でも本プログラムなどを活用して貢献していきたいと考えています。自らの手で環境問題の解決を目指す、多くの社会人の「知の共創プログラム」へのご参加をお待ちしております。

(知の共創プログラム運営委員長 中塚 武)

PAGE TOP