環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 大気中の微小な粒子の性質を調べる

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地球環境科学専攻 気候科学講座
持田陸宏 准教授
(大気化学)
気中には、空気(気体)だけではなく、一つひとつを肉眼で見ることのできない小さな粒子が数多く存在しています。エアロゾル粒子と呼ばれるこの微小な粒子は、陸・海の上を問わず、大気の中に広く漂っていて、雲粒の「種」などとして、雲の形成等に重要な役割を担っています。人間の様々な活動によって粒子やその原料が大気に放出されることで、今ではエアロゾルの量が変わり、雲粒の生成などを通して、地球の環境に影響を及ぼしている可能性があると考えられています。
のエアロゾル粒子は、皆さんの周りにある様々なものと同じように、「物質」からできています。物質には多くの種類があり、その性質は様々ですね。実は、エアロゾル粒子を形作る物質にも色々な種類があり、その多数がわずか1ミリの千分の1以下の大きさしかない粒子が、乾いているのか、湿っているのか、黒っぽいのか、白っぽい(透明)のか、あるいは堅いのか、柔らかいのか、研究者達はそんなことを調べています。どうして、と思われるかもしれません。実は、粒子に含まれる物質の種類の違いによって、大気中の振る舞いを通して気象や気候に及ぼす影響が違うと考えられるため、その物質が何で、どのような性質を持っているのか、それを知ることが大切なのです。
たちの研究グループの場合、研究対象の例として、空気中の水蒸気を粒子が取り込む性質があります。上の例にならえば、どれくらい湿っているか、ですね。学生の時に化学を専攻した私は、物質の性質や、化学反応に伴うその変化を調べることに興味があり、それが現在の研究のベースになっています。所属講座の名称である気候科学の分野としては、少々、いや随分と変わった立場で研究をしていると言えるでしょう。このことは見方によっては、環境学には様々な得意分野を持つ人に活躍の場がある、と考えることもできます。
っとも、環境学の一分野の研究に加わり、自分の専門分野を語ることができるようになっても、環境学とは何か、どのように形作られていくのか、私にとってそれらを問う過程は、まだまだこれからです。環境学の発展を肌で感じながら、学生さん達とともに、その答えを探す道のりを楽しみたいと考えています。
(もちだ みちひろ)
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