環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 振動計測から環境の機能性と安全性に取り組む

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都市環境学専攻 環境・安全マネジメント講座
飛田 潤 准教授
(地震工学、建築構造、地域防災)
古屋大学の下を走る地下鉄名城線と名古屋高速2号東山線の工事は、およそ15年前に始まりました。名城線は初の地下鉄環状線となり、名古屋高速は東名に接続するなど、名古屋市の交通において重要な事業です。しかし学内では、工事や交通による振動によって、精密機器を用いた研究の環境が損なわれる可能性が心配されていました。そこで、振動の状況を常時監視して工事と大学の調整を行うために学内組織の振動等集中管理室ができ、私が最初に着任することになりました。
全に関わる大地震の揺れよりはずっと小さくても、交通、工事、工場などによる振動が不快感や精密機械の障害を引き起こすことがあります。このような問題は環境振動と呼ばれ、都市ではしばしば問題となります。しかし、振動がどのように発生し、どこを伝わってくるのか、またどういうメカニズムで精密機器の機能が影響を受けるのか、どれもよくわかりません。そこで地盤や建物や機器に高感度の振動センサを何箇所も設置して常に監視し、トンネル現場に入って工事機械の振動を計測するなど、データを蓄積して予測や対策につなげます。
局、さまざまな調整や対策を経て、大きな問題もなく7年後に工事は完了しました。目に見えない小さな振動ですから、客観データに基づいて学内外の関係者に理解してもらえるように説明すること、そしてそれを継続する努力がとても大切でした。
の後は環境学研究科に移り、名古屋大学災害対策室を兼任して、学内と地域の防災に携わっています。地震の揺れで建物や室内がどのような危険な状況になるか、大学や地域全体ではどのような問題が生じるか、効果的な対策は何か、それを実現するために一人ひとりで何をしたら良いか。地盤や建物の揺れと被害について、地震計や地盤・建物のデータを蓄積することで、さまざまな立場の人に客観的な状況とその重要性を伝え、長い目で着実な減災対策につなげるなど、工事の振動を扱っていたときとスタンスは変わりません。今後も、学内と地域の安全・安心な環境につながる活動を続けていきたいと考えています。
(とびた じゅん)
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