環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 都市解析(Urban analysis

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社会環境学専攻 地理学講座
奥貫 圭一 准教授
(都市解析・地理情報科学)
山キャンパスには,数年前,コンビニエンスストアができました。南部生協の「パンだが屋」から100mくらいの至近距離です。街なかを見ても,コンビニばかりでなく,美容院とか,ガソリンスタンドとか,同じ種類の店が何軒か集まっているところがよくあります。そういう集積には何らかの理由すなわち原理があるはずです。都市には(集積をはじめ)さまざまな現象があります。そうした都市の現象に注目して,その原理を数理的に解明する。それが「都市解析」と呼ばれる研究分野の目指しているところです。
積という現象をもう少しよく考えてみましょう。実のところ,その判断はとても曖昧なものです。たとえば,いま,駅前にコンビニが1軒あるとしましょう。この場合,コンビニが駅前に「集まっている」などと言う人はいないでしょう。では2軒あったらどうでしょうか。「集まっている」かいないか,人によって判断が分かれるのではないでしょうか。集積の原理を追究するためには,その前にまず,どのくらいの数の店が集まったら「集積」と言うのかを客観的に判断する方法を考えなければなりません。そういう方法を考えるのが私の最近の研究です。具体的には,地理情報(デジタル地図)と数理的(とくに統計学の)手法を応用して,集積の判定を行う研究用ソフトウェアを開発しています。
市解析は何の役に立てるでしょうか。たとえば「集積」を判定できたとして,何の役に立つでしょうか。この疑問に正直に答えるならば,以前は「役に立ってたまるか!」と言うしかありませんでした。ところが,この10年ほどで状況はすっかり変わりました。たとえば,最近では,交通事故発生地点の地図データが手に入ります。これを利用すれば,事故がどこかきまった地区で集中的に発生しているのか,それとも,全域的に発生しているのか,事故の地理的な発生傾向を分析することができるのです。「集積」を判定する手法を応用すれば,犯罪が集中している地区を抽出して,具体的な対策に役立てることができるはずです。
(おくぬき けいいち)
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