環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 環境学と私

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都市環境学専攻建築構造システム講座
准教授 丸山 一平
(コンクリート工学)

古屋大学に着任してから,1 年と半年が過ぎようとしています。私の専門は,建築材料学で,特にコンクリートをどのように利用すべきか,ということを対象に研究を行っています。最近では高層鉄筋コンクリート建築物でも利用されるようになってきた,超高強度コンクリートの研究を行っています。
は,環境学というのは,既存の学問分野において環境側面を包括する横断的な知識の体系化の学問であるように思います。これは,逆に考えると環境学そのものが,独立して存在することが難しいということを意味します。私の研究の基盤となる建築学の中では,比較的環境という言葉が多く利用されます。人間が住まう空間は環境と呼ばれ,住空間が集合する場所は時として都市環境と称されます。私が専門とする材料学では,境界条件として環境は位置付けられることが多く,温度,熱を始めとする多くの状態が環境外力として認識され,材料の性能変化,状態変化に影響を及ぼします。環境という言葉そのものは,これらに挙げるがごとく様々にその意味合いを異にしながら学問の中に登場します。こういった断片の中で,たとえば,人類の持続可能な成長を目的として,個別の学問(工学や法学,経済学)の中に場所や時間を評価・利用する技術と知識を再整理することが,膨大となった知識の集積の中で必要とされているわけです。ここで注意しなくてはいけないのは,再整理は知識・体系の固定化を促すものではなく,次の再整理を意図し,変化を要求する形態になっていなければ,持続的発展は学問としても成立しないということでしょう。
年は,建築学の中でも,建築行為に関わる資源やエネルギーの流れを対象とした研究において,他分野との技術や知識の往来が激しくなってきました。私の関わる建築材料分野であっても,どれだけの二酸化炭素を排出するか,エネルギーを消費するか,資源枯渇の問題をどのように解決するか,ということが大きな関心事となっています。超高強度コンクリートの研究は,経済効率の高いRC構造物を可能とするだけでなく,併せて高耐久化をも可能とする技術であり,少しのイニシャルコストの増大で,長い期間の鉄筋コンクリート建築物の利用を可能とするものです。これは,技術開発により環境負荷低減を目指すアプローチであり,環境学の中では工学的立場をとるものと言えます。現状は,超高強度コンクリートの最適利用にはほど遠いですが,研究者となった第一歩として,建築物の一つのRC 構造物のあり方を突きつめていきたいと思っています。
(まるやまいっぺい)

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