環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 エコバーシティ(Ecoversity)

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都市環境学専攻建築学系
助教授 小松 尚
(建築計画)

年(2006年)の10月にイギリスのブラッドフォード(Bradford)という街を訪れました。ここ数年継続している地域再生と大学の経営戦略の連携に関する海外事例調査の一環です。ロンドンを発つ時に「何でそんな所に…」と言われた意味は、夕暮れ時に駅に降り立った瞬間に理解できました。一言でいえば、イギリスでありながらイスラムの街なのです。また、夜に街の中心地には人っ子一人おらず、街の衰退はいやがおうにも感じられました。1950年代には毛織物業で栄えた街ですが、産業の衰退が進むにつれて多くの白人居住者は転出し、代わってパキスタン系やインド系移民の人々が移り住むようになったと聞きました。
の街の中心にキャンパスを構えるブラッドフォード大学が今回の訪問先です。平和学で有名な大学ですが、この街では都市再生会社(Urban Regeneration Company)による地域再生のプロジェクトが進んでおり、その中での大学の役割や可能性を調査することが目的です。IT産業の誘致による地域の活性化策において大学が中心的な役割を担っていること、空洞化が進む都心地区での住居整備と隣接するキャンパスの整備を一体的に行うとする計画など、その成否は数年後に確かめたいと思いますが、大学が地域の再生に大きな期待が寄せられるだけでなく、実質的な牽引役を担っていることに深く印象づけられました。
・トロワがいうように、エリート養成、マス教育、ユニバーサル化とその目的や様態が変化してきた大学ですが、次はどこへ向かうのでしょうか。香港、ロンドン、そしてブラッドフォードへと渡り歩いたこの大学の施設部長は、社会福祉、経済発展、健康的な環境、持続的開発を志向する教育を実現する大学、キャンパスを目指すと我々に語りました。そして、ブラッドフォードの再生と持続的発展の担い手となるこの大学が上記4点を総括するキャッチフレーズとして掲げるのが「エコバーシティ」。大学という機関やキャンパスという存在が果たしうる役割はまだまだあるという認識を深めて、次の調査地であるエジンバラに向かいました。
(こまつひさし)
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ブラッドフォード中心部の様子
ecoversity
エコバーシティモデル
(Bradford大学C.Wilson氏の説明資料(2006.10.19)より引用)

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