環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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 平成22年度(第12回)まちとすまいの集いを開催しました

 10月30日(土)、環境総合館レクチャーホールにおいて、第12回「まちとすまいの集い」を開催しました。環境学研究科都市環境学専攻建築学教室では、毎年「まちとすまいの集い」と題して、講演会の開催とともに、教育・研究活動を紹介する展示を行い、建築学教室の日頃の活動を広く学内外に情報発信しています。
 今年のテーマは、「使いこなす・住みこなす ―都市、建築、そして資源―」。当日は台風14号の接近が心配されましたが、建築・都市関係諸団体の後援の下、60名を超える参加者を得て開催されました。
 奥宮正哉環境学研究科教授の挨拶に続き、3名の講演者が全体テーマ「使いこなす・住みこなす」をそれぞれの専門分野から解きほぐし、今後の展望を語りました。
 まず、久野覚環境学研究科教授が「地球環境時代、どうやって暮らして行くか」と題し、地球環境が危ぶまれている中で、プレザントネス(快適性)の考え方と建築の関係を、露天風呂でのたとえ話などで分かりやすく解説しながら、パーソナル空調とローカル空調による省エネルギーへの貢献、エアコンをつけなくても場所の選択肢があれば省エネ的でパッシブな生活ができること、住宅の広さと豊かさ感の関係から今後は面積増だけでなく住み方の工夫が重要であることなどを、これまでの豊富な研究成果から解説しました。
 続いて、恒川和久工学研究科講師が「大学キャンパスからサスティナブルな都市・建築へ」と題し、最初に20世紀につくられた近代建築や都市空間が残した問題を振り返りながら、都市と大学のサステイナビリティ(持続可能性)の実現に大学キャンパスは大いに貢献でき、その実験実証の場になりえるという考えを示しました。そして、昨年度に策定された名古屋大学キャンパスマスタープラン2010が提示する空間的骨格や点検評価のサイクルを有する先進性ととともに、その実現に向けてはファシリティマネジメントが重要になることを解説しました。
 最後に勅使川原正臣環境学研究科教授が「よみがえれ 既存建築物」と題し、廃棄物排出量のうち建設業関連が2割を占めること、各種データから壊しては建てている現状が明らかにされたとともに、200年住宅の効果や住宅の長寿命化に向けた政府の施策を紹介し、具体的な対応策として住棟単位の改修技術開発に関する取り組みを紹介しました。メゾネット化や水平2戸1住宅、梁成縮小、低床化、機能変更といった空間拡大技術を実験検証の様子とともに解説しました。
 講演終了後、参加者から技術的な質問だけでなく、「長く使い続けることは真の希望だろうか」という問いかけがあり、講演者からは「今は多くの人が望んでいないのが現実だと思うが、改修することが面白いということを知ってしまった人たちはそれを楽しんでいくだろう」「住まいを手に入れるのに一生を捧げるという人生はもう止めては」「使われ続けた住宅は強度もあり、機能的にも良いから残ってきている」などの応答がありました。

 写真

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講演する久野教授
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講演する恒川講師
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講演する勅使川原教授
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会場の様子