環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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 総合地球環境学研究所と共催で第8回地球研地域連携セミナーを開催しました

 10月10日(日)、豊田講堂において、本学と総合地球環境学研究所の共催で第8回地球研地域連携セミナー「多様性の伝え方―子どもたちのための自然と文化」を開催しました。また、当日は豊田講堂ホワイエにて「国連子供環境ポスター原画コンテスト」の入賞作品展示も同時に行われました。
 同シンポジウムは、COP10にあわせて生物多様性の重要性を次世代の担い手である子どもたちに伝える教育の在り方について、本学と地球研の研究者らが講演しました。学生、教員、一般市民ら約200名の参加がありました。
 宮田隆司理事による開会あいさつ、阿部健一総合地球環境学研究所教授の趣旨説明に続き、関野吉晴武蔵野美術大学教授による基調講演が行われました。文化人類学を専門とする関野教授は、アフリカに誕生した人類がユーラシア大陸を通ってアメリカ大陸にまで拡散していった道のりを自らの脚力だけを頼りにしてたどる「グレート・ジャーニー」を実践する冒険家であり、かつ医師でもあります。「四足歩行の動物とことなり、二足歩行できるようになった人間は、空いた手を利用して様々な道具を創り出し、そして文化を築きながら、様々な環境に適応していった」ことを世界各地の農耕、狩猟、漁業の事例を紹介しながら説明し、文化多様性の大切さを論じました。
 その後の講演では、辻野 亮総合地球環境学研究所上級研究員が屋久島での生態学的研究の成果を地域に還元する活動を、神松幸弘総合地球環境学研究助教は虫嫌いの子どもたちに対して生き物への興味を引き出すことに成功した教育の実践を紹介しました。続く依田 憲大学院環境学研究科准教授は、バイオロギングによる動物の個体観察の研究をビデオ映像で紹介し、同じ環境にいても動物は人間とは全く違う世界を持っていることを論じ、人間中心的な視点ではなく柔軟な視点で生き物を見ることの大切さを訴えました。また、夏原由博大学院環境学研究科教授は、自然との付き合い方について、田んぼの生き物や里山などの身近な話題を取り上げて、見えない個体への気配りの大切さを論じました。
 最後のパネルディスカッションでは、会場からの質問票をもとにして、阿部健一教授と横山 智大学院環境学研究科准教授の司会で4名の講演者と生物多様性を伝えるための具体的な実践方法や生き物との付き合い方、そして生物多様性の維持するためには文化の多様性も重要であることを議論し、参加者も熱心にそのディスカッションに耳を傾けました。本シンポジウムを契機として、生物多様性を保護・保全するだけにとどまらず、それを次世代に伝えるための方法についても議論が行われることを願いたいと思います。

 写真

写真1
開会挨拶する宮田理事
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基調講演する関野教授
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講演する依田准教授
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講演する夏原教授
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パネルディスカッションの様子
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閉会挨拶する立本所長
写真7
同時開催したポスター展の様子
写真8
パネル展示の様子