環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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 シンポジウム「環境問題の核心とは何か」を開催

 環境学研究科では、経済環境論講座の主催により8月1日(金)に標記のシンポジウムを開催しました。

 まず、同講座の黒田達朗教授から、専門分化した研究者の関連分野に対する誤解が生む危険性、環境問題に求められる情報リテラシー、疑似科学とならないための研究者の説明責任の重要性など、最近の環境問題をめぐる諸課題に基づくシンポジウムの趣旨説明がありました。

 第1部の講演会では、武田邦彦中部大学教授(本学元教授)から、リサイクル、ダイオキシン、地球温暖化はいずれも「被害が起こった環境問題」ではなく、「科学的に創造された環境問題」である。現在問題となっているものは、いずれも科学的に間違っており、環境問題は存在しない、といってもいい。科学は未来を予測できないのである。我々は、闇雲に資源を節約するのではなく、むしろ石油のあるうちに次世代のものを作り出していくべきではないかという問題提起がありました。続いて、佐野充教授から燃料電池に関する技術開発の現状について詳細な解説があり、燃料電池は確かに使えないことはないものの、省エネ機器の一種という程度として考えるべき。また、持続可能性については疑問が残り、「究極の」とか「エネルギー問題を解決できる」とかいう謳い文句は事実無根であるとの指摘がありました。最後に、神沢博教授から、現実の地球の気候システムに対して制御実験を行うことが不可能であるためにIPCCなどで採用されている、気候モデルによる数値実験の考え方と最近の成果について詳細な説明がありました。結論としては、現在の気候科学の知識体系は、人間活動に起因して大気中の温室効果ガスの量が増えたときに、雲の変化とその放射効果を代表とする種々の過程に関する知識の不確定性を考慮した上で、地球平均の地上気温が上昇することを支持しているとのことでした。

 第2部のパネルディスカッションでは、講演会での議論を受けて、まず、竹内恒夫教授からコメントと質問が提出され、リサイクルのあり方、ペットボトルの燃料としての利用可能性、行政の施策が歪みを持つ原因、気候モデルの改善の可能性などについて幅広い議論が行われました。また、第1部、第2部を通して、フロアからも原子力発電に対する考え方、最近の「異常」気象の原因、子供たちへの環境教育のあり方など重要な問題が提起され、活発な質疑応答がなされました。

 

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