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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生ががそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

環境と社会の多元性に気付く

顔写真

2018年度博士後期課程修了
人間環境大学 人間環境学部 環境科学科
谷川 彩月 助教

環境学研究科で博士の前後期過程を過ごし、現在は愛知県内の私立大学で、生態学、化学、情報工学、人文社会科学が集まる文理融合型の環境科学科の教員として働いています。規模は大きく異なりますが、学びを得た場と同じように文理の垣根を越えて環境学を追究する職場に身を置けていることを、嬉しく思っています。
就職し、これからは学生とともに、環境問題の解決に少しでも寄与できるような研究をしていきたい、と思っていました。しかし、いざ学生と話をしてみると、植物に囲まれて暮らしたいとか、現代における寺院の意義について調べたいとか、とにかく私の思い描いていたものとは異なる関心事を、学生はそれぞれに持っていました。もちろん、それらはどれも面白く、注意深く検討を重ねていけば卒業論文のテーマになりうると思いました。しかしながら、私が考えていた「環境問題の解決に少しでも寄与できるような研究」を、学生たちもまたやりたがっているというわけではなかったのです。
どうやら私は、環境と名がつく学科なのだから、(私のように)みんなが環境を守りたいのだろうと、暗に想定していたようでした。そして思い返せば、博士前期課程で環境学研究科に進んだ際にも同様の経験をしていました。「環境学研究科という名前なのに、環境問題と一見関係なさそうな研究も多いのだな」と驚いた記憶があります。
結局のところ私は、学生との対話を通して「環境」の多元性にもう一度気付かされたのだと思います。そしてそれは、私の専門である社会学でいわれている、社会の多元性と似ていると感じました。社会が多元的に、重層的に存在するように、「環境」の意味するところもまた、多元的で重層的です。こうした多元性に目を向けることで、私たちは社会や「環境」のあり方をより一層深く汲み取ることができるようになります。
こうした視点は、環境問題を含むさまざまな社会問題をとらえるうえで、不可欠だと思います。環境学を学び育った教員として、「環境」、そして社会の多元性に気付くような経験を学生にも提供していきたいと思っているところです。
(たにかわ さつき)

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