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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

自分の足で現場に行くこと

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地球環境科学専攻地質・地球生物学講座 博士前期課程 2013年修了
永田(伊佐地) 彩加

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名古屋港水族館のオオジャコガイと
学生時代はシャコガイ殻を用いた古環境復元をテーマとして研究を行なっていました。シャコガイは熱帯〜亜熱帯に生息する大型の二枚貝で、私の研究では石垣島に生息する現生シャコガイ殻の炭素・酸素同位体比や成長線幅を測定し、海水温や日射量の代替指標となり得るか検討を行いました。
ところで、私には学生時代の研究を通して少し後悔していることがあります。それは石垣島のシャコガイをサンプルとしながら、一度も現地に行ったことがなかったということです。サンプル自体は現地の方に送ってもらったため、論文には採取地の情報を記載しながらも、自分ではそこがどんな場所なのか具体的にイメージできていませんでした。
初めて石垣島を訪れたのは卒業旅行です。大学院では、フィールドに出て自らの五感で確かめることを学んできたつもりでしたが、その時は初めての石垣の海、生物、気候、そして生きているシャコガイにもとても感動し、改めて現場へ出ることの重要性を認識したのを覚えています。初めて食べたシャコガイは、思ったより普通の貝でしたが・・・。
現在は、電機メーカーで研究開発業務を行っています。研究開発はメーカーの中でもかなりお客様から遠い仕事です。この「お客様」には、商品を実際に使用してくださるユーザーはもちろん、販売店や施工業者、量産に携わる工場の方が含まれます。それぞれの現場で、使いやすく、売りやすく、施工もしやすい、そして作りやすい商品を考えていくことが研究開発には必要で、そのために現場に出てその人たちの声を聞くことが重要であるということを入社時に学びました。実際、入社後に担当していたインドネシア向けの新商品開発では現地で一般家庭の訪問などを行い、日本にいては分からなかった現地の状況を知ることができました。現在担当している水廻り設備商品でもショウルームなどを訪問し、ユーザーの声を掴むようにしています。
全く異なる分野の仕事ですが、環境学研究科で学んだ「現場の大切さ」を忘れず、これからも技術者として成長していきたいと思います。
(ながた(いさじ) あやか)

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