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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生ががそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

多様なモビリティのための道路空間

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都市環境学専攻 環境機能物質学講座
井料 美帆 准教授
 (専門:交通工学・交通計画)
本教員のプロフィール

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道路の設計・運用に関する技術・研究開発は,自動車の普及に伴う交通渋滞・交通事故の課題解決を主な目的として発展してきました.そこでは,自動車という単一の交通手段を扱うことが基本で,歩行者・自転車などの低速交通は附属的なものとされてきました.
近年,少子高齢化が進むにつれ,コンパクトなまちづくりが推奨されています.歩行者・自転車などの低速なモビリティが見直され,超小型モビリティや,セグウェイに代表されるパーソナルモビリティのように,短距離の交通を既存の交通手段から環境負荷の小さいモビリティに置き換えることも検討されつつあります.
低速の交通手段に着目すると,既存の道路空間には様々な問題が残されています.例えば自動車の走行利便性を高める広幅員道路は,横断歩行者にとっては信号待ち時間が長く,行動範囲を狭めるものとなり得ます.歩行者の移動時間の多くはおよそ10分以内であり,信号で2分待たされると行動範囲を2割縮めることになりかねません.歩行者が受ける損失を適切に評価し,道路の設計・運用を行うことが重要です.また,日本の交通事故死者数のうち,3人に1人以上が歩行者であり,先進国の中では極めて高い割合です.歩行者の自然な行動が事故を誘発しないような道路設計であったり,高速の通過交通と歩行者とが同じ道路に混在しないよう,道路利用者が使う道路をうまく住み分けることのできる道路ネットワーク計画も必要です.さらに,パーソナルモビリティなどの全く新しい車両が,高密度で歩く歩行者と混在し,公道で安全に移動するためには,個々の歩行者の行動特性や,それが集まった時の歩行者交通流の特性を考慮して道路空間の設計を行わなければなりません.
これらはあくまで一例ですが,このような課題を解決し,持続可能な都市において移動目的に応じた様々なモビリティが共存することを目指して,道路空間の計画・設計・制御に関する様々な技術検討を行っています.
(いりょう みほ)

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