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このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

桜とカンフーから環境学を思ふ

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地球環境科学専攻 2013年修了
木本 洋

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早いもので、環境学研究科を卒業してから4度目の春を迎えました。現在住んでいる東京の神田川に浮かんで流れる桜の花びらを見て、この桜はどこからやってきて、どこへ行くのだろうと思いを巡らせてしまうのは、私が学生時代に水中の元素移動について研究していたせいもあるのでしょうか。
研究科に在籍していた当時私は、湾内の漁業に深刻な被害を与える貧酸素水塊の対策に繋げるための研究を行っていました。三河湾の貧酸素水塊の海水を季節や水深ごとにサンプリングし、微量金属を測定することで、貧酸素水塊の化学的特徴を探っていたのです。
一方現在はと言いますと、国内外の水道事業を手掛ける民間企業にて、浄水場や下水処理場といったプラントを設計しています。大学では機械や設計のことを専門的に勉強したことがほとんどありませんでしたので、最初はわからないことが多く苦労しましたが、丸3年間経験を積み、ようやく技術者として自立してきたかなと思うと同時に、この仕事にやりがいを感じている次第です。
このように、理学的な学術機関から工学要素の強いビジネスの現場へと活動の場は変わりましたが、見ているのは同じ水環境です。分野を横断して様々な角度から人間を取り巻く環境を探究するのが環境学です。ということから私は、水環境を対象にして仕事で利益をあげることに努める傍ら、今も環境学の道を歩み続けていると考えています。
私の好きな映画「ベスト・キッド」において、カンフーの師匠が主人公である弟子に”Everything is kangfu”と伝える重要なシーンがあります。カンフーはカンフーをする時だけのものではない。日常生活での考え方・所作さえも、カンフーの道と一体なのだという意味なのでしょう。私はそれを環境学でも同じだと考えています。つまり私はこう言いたいのです。「エヴリシング イズ カンキョー(学)」。学問の分野を横断するだけでなく、アカデミックの場を出ても、仕事、生活を通して環境学の真理を探求するため、今後様々なアプローチで挑戦を続けていくつもりです。

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