環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 海と人間

顔写真
地球環境科学専攻 地球水循環科学講座
石坂 丞二 教授
  (生物海洋学、リモートセンシング、環境動態解析)
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東シナ海の夕日
みについて考えてみたことあるでしょうか。海は地球の表面積の約70%、地球の水の約97%を占めています。さらに水だけではなく、炭素を初めとする物質やエネルギーの巨大な貯蔵庫となっています。このため、気象や気候にも大きな影響を与えています。また、海は生命の起源ともいわれますが、現在も多くの生物の生活の場となっています。魚釣りや潮干狩りを楽しんだことのある人も多いと思いますし、魚介類は普段の食材としても欠かせません。
なさんは海水の中に植物プランクトンが棲んでいることも聞いたことがあると思います。多くは顕微鏡を使わないと見えない小さな生物です。こんなに人間生活からかけ離れたちっぽけな生き物ですが、実は食物連鎖を通して人間に魚など多くの食料を供給し、さらに水に溶けた二酸化炭素を吸収したり、多くの物質の地球規模の循環に密接に関わっており、人間生活と切り離せません。
川等からの様々な汚染物質が流入することや、海岸線の改変によって、現在、沿岸生態系は大きく変わりつつあります。植物プランクトンが増加しすぎて赤潮などの環境問題を引き起こしたりすることもあります。さらに外洋域でも、人間活動による温暖化や二酸化炭素の増加、さらに大気経由の汚染などによって、植物プランクトンの量が減少したり、その種類が変化していることが指摘されています。
工衛星によるリモートセンシングによって、最近、この顕微鏡サイズの植物プランクトンの量を広い範囲で把握できることが可能になってきました。プランクトンの量は、海流や気象などの影響で時間的・空間的に複雑に変化することが、今は時々刻々とわかるようになりつつあります。私の現在の研究は、この植物プランクトンの変化や変動がどのように、人間の活動と関連しているのかを、衛星リモートセンシングや船による観測などによって、明らかにしようとしています。
(いしざか じょうじ)
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