環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

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都市環境学専攻 都市持続発展論講座
助教 東 修
(環境工学,環境システム工学)
,世界は未曾有の経済危機にある.我が国の主要産業も軒並み減産を余儀なくされ,町には住む場所を失った人々が溢れ出している.この状況が続けば,資源エネルギー需要の極端な落ち込みにより,京都議定書の温室効果ガス削減目標が達成できてしまうのではないか,そんな気にさえなる.私は今,低炭素型都市づくりに関する研究に携わっているが,このような不況の継続を目指しているわけではもちろんない.
球環境問題は,地球温暖化対策,循環型社会形成,生物多様性保全の3つの連携により,解決に導かれると考えられる.循環型社会形成は,「モノ」を大切にする心に通じ,生物多様性保全は,「命」を大切にする心に通じる.しかし,人は不安,恐れなどによって自らの心に余裕がなくなったとき,自他の破壊など,これに反する行動をとってしまうことがある.このため,目指すべき「低炭素型都市」は,上記の3つをうまく連携させた人々が安心して暮らせる場所でなくてはならない.
々の不安要素は,雇用,食料,資源,環境といったところか.思うに,地域の農林業が活発化すれば,雇用,食料に加え再生可能エネルギーの確保も可能となることから,ある程度の安心感が得られると考えられる.もちろん,農林業で十分に所得が得られるシステムが大前提である.環境保全の面では,例えば,有機農法を実践した場合,食物連鎖を利用した害虫駆除であるため,田畑において豊かな生態系が構築され,水質汚染も緩和される.また,農薬等の製造に必要なエネルギーも節約される.ここで地産地消を推進すれば,輸送エネルギーが節約されるだけでなく,ある一つの都市圏に十分な農地を確保する必要があるため,自ずと中心地はインフラ効率の高いコンパクトシティとなることが予想される.
通部門では,上記の農村部にて電気自動車を普及させ,中心地にてパークアンドライドを実施し公共交通機関の拡充を図れば,輸送部門のCO2削減が可能…などなど,理想の低炭素型都市はどうあるべきか,日々考察中.そろそろデザインしなくては.
(ひがし おさむ)