環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 環境学と私

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都市環境学専攻 建築構造システム講座
助教 日比野 陽
神淡路大震災で,建物が倒壊するなど甚大な被害が生じたことはいまだ記憶に新しい出来事です。今後,来るべき東海・東南海地震に対して,同じような被害が生じないよう,設計法や補強方法を整備することが急務とされています。現在でも,多くの研究成果が公表されていますが,十分であるとはいえないのが現状です。
は,建築構造を専門とし,主に鉄筋コンクリート造建物の耐震性に関する研究を行ってきました。特に,構造物がどの位の大きさの地震に対して,どの位の耐震性を有しているのか評価し,設計や耐震補強に生かす方法についての研究を対象としてきました。現在の設計法では,未だ耐震性能を精確には評価できてはいません。また,どんな地震動に対しても耐えられるよう頑丈に設計するだけでは,材料費や建設費に大きな無駄が出る上,環境への負荷も大きく望ましくありません。そこで私は,地震時の建物や部材の挙動を精確に把握できる性能評価型の設計法を実現したいと考えています。実験や解析により,地震動の強さや性質と構造物の性能とを精確に関連づけられれば,設計時や耐震診断において大変有用であるからです。
験では,柱や梁,壁などを想定した実際に近い構造物を作製し補強等を施した上で,地震時に生じる力を与え,その挙動を調査し,性能の評価を行っています。また,解析では構造物の地震応答解析を行い,構造物の変形によって消費されるエネルギーと地震動の関係等から,地震動と耐震性能の関係や設計のクライテリア,損傷の予測方法について研究を行っています。
在,既存ストックの再生,活用を目的としたプロジェクトを進めています。環境保全や持続可能な社会を実現するため,建て替えを余儀なくされている古い建物を補強し,現在の設計法に沿ってリニューアルを行うことで,新たな活用方法を提案するというものです。私はこれらの研究を通して,安全で快適な社会環境の実現に貢献したいと考えています。
(ひびの よう)
写真
梁のせい低減に対する補強性能評価の実験