環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

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都市環境学専攻 環境・安全マネジメント講座
助教 小島宏章
の専門は建築構造で,その中でも特に建物振動について研究しています。建物といっても様々な種類がありますが,街中に多く存在するような中低層建物を主な対象として,実際にどのように揺れているのか?を中心的なテーマとしています。建物の揺れというと,鉄筋コンクリートや鉄骨などでできた建物そのものだけの揺れをイメージしがちですが,実際には建物基礎や周辺の地盤も含めて複雑に揺れています。そのため,ごく平凡な形状(例えば,直方体)をした建物であっても,その揺れをしっかりと説明することはまだ十分にはできていません。
物が揺れるのは,地震や台風の時に限った事ではありません。むしろ,このような揺れは希で,風や波浪,自動車などの交通振動などによって,私たちが感じない微小なレベルで建物は常に揺れています。この微小な揺れは,データの収集方法や分析方法によっては,地震時の建物の揺れとある程度の共通点を抽出することができます。このような特徴を利用して,通常の地震観測では分からない詳細な立体的振動や地盤も含めた揺れを測るために,時折,キャンパスの中の建物を対象として計測をしています。
古屋大学東山キャンパスでは,ここ10年程の間に新築や耐震改修が多数行われてきました。建設工事は,建物そのものや周辺の状況を変化させます。そのため,建設工事期間中に定期的に工事現場で計測することで,建物の揺れ方がどのように変化するか等についても検討を行っています。大学に在籍していると,事象が発生している現場から遠くなりがちな場合が多いですが,自分でデータを得ることの大切さと,現場を見ているからこそ分かる事実というものの大切さを常に意識しながら,研究を進めています。
頃,比較的大きな規模の地震が日本各地で発生していますが,幸いにも建物被害はそれ程大きくは出ていません。この原因を理解するための一助として,私たちの研究グループでは地震の揺れを振動台で再現し,ホームページに掲載していますので,ご覧頂ければと思います。