環境学研究科
Graduate School of Environmental Studies

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  環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。

 建物の本当の実力

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都市環境学専攻建築学系
准教授 護 雅史
(耐震工学・地震防災)

は、建築構造や地震防災、特に地盤と建物の動的相互作用効果―ちょっと聞き慣れない言葉だと思いますが−の研究を中心的に行っています。環境・安全マネジメント講座に所属しており、地震による人的被害や建物被害を如何に軽減するかが与えられた課題ではないかと考えています。
神・淡路大震災以降も、毎年のように被害地震が発生しています。昨年も、能登半島地震、新潟県中越沖地震が発生、多くの家屋が倒壊し、十数名の尊い命が奪われました。一方、これらの地震では、震度6強という非常に大きな揺れを観測したにもかかわらず、被害が小さかった建物もありました。しかし、その理由については、実は、十分に分かっていないのです。建物の有する本当の耐力、入力した真の地震動、真の応答性状、どれを一つとして明らかにされてはいません。
2007
年新潟県中越沖地震では、原子力発電所がこれまでに経験したことのない、想定以上の大きな揺れに見舞われ、発電所内の付属施設や建物周辺地盤では、大きな被害を受けました。幸いにも、原子炉建屋は大きな構造的被害も無く、放射能漏れ等、周辺住民の人命に関わるような重大な被害が発生しませんでした。1号機は、一般建物では設計法に最近取り込まれた動的相互作用効果を考慮した上で、安全性を考慮して一般建物の3倍の耐力を見込んだ設計が今から20数年前に行われていました。これは、設計当事者が、最新の研究成果や技術を導入しながらも、それらを過信せず、自然に対する謙虚さを忘れなかった結果ではないかと思います。
設会社を退職し、大学の教員となって一年半が過ぎました。これらも、自然に対する真摯な姿勢を忘れずに、建物の真の実力を明らかにすることなど、地震防災のための研究に従事していきたいと思います。
後に、この場をお借りして公開講座のご案内をさせていただきます。環境学研究科では、地球環境をテーマとしたUFJ寄附講座を毎年開講しています。今年度後期は私の担当で、「都市・住宅と環境」というテーマを掲げ、著名な先生方を講師としてお招きする予定です。一般の方々の聴講も大歓迎です。10月より月曜日2限に開講いたしますので、是非ご参加下さい。また、「防災フェスタ2008 in みなと」が2008年3月29日に開催されます。楽しい防災イベントが目白押しです。是非、ご家族でご参加ください。
(もり まさふみ)

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パンフ

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